仮想通貨Lisk(LSK)の技術認知を広める団体であるELITECENTER(エリートセンター)が、東京・日本橋でコワーキングスペース(シェアオフィス)を立ち上げる。入居開始は2月1日からで、本日25日の19時からオープニングセレモニーが行われる。オープンニングセレモニーにはLisk創設者のマックス・コーデック氏がビデオレターで出演する予定だ。

今回の設立にあたり、エリートセンターのインキュベート・マネジャーである細江裕二氏は、コインテレグラフ日本版の取材に答え、「ブロックチェーン素人でも気軽に立ち寄れる」環境づくりで日本で増え続ける他のコワーキングスペースとの差別化を図っていく考えを示した。

ELITECENTER(エリートセンター)

エリートセンターは、プロトコルレイヤーであるLisk並びにELITE財団のスポンサードによって設立。今回、エリートセンターは、仮想通貨としてのLiskやプロトコルレイヤーとしてのリスクの技術の普及、さらには日本のブロックチェーン推進活動における情報発信を進める拠点として設立した。昨年中国でオープンしたエリートセンター・チャイナに次いで世界で2番目のオープン。日本と中国を足がかりにまずはアジア市場を盛り上げることを目指すそうだ。

Liskは、仮想通貨としてだけでなく、プログラミング言語Javascriptで書かれたブロックチェーンプロトコルを指す。ブロックチェーンのサイドチェーンで独自のコンセンサスアルゴリズムを構築可能だ。Lisk財団の本拠地はドイツのベルリンにあり、Liskの時価総額は現在37位となっている(引用元:CoinMarketCap)。日本国内ではビットフライヤーでLiskの購入が可能だ。

現在、国内では渋谷のNeutrino本郷のHashHubが仮想通貨・ブロックチェーン関連のコワーキングスペースとして認知されており、先日、仮想通貨取引所Xthetaがコワーキングスペース 『Singularity HIVE』(シンギュラリティーハイブ)を28日に大阪でオープンすることを発表した

これらに対してエリートセンターは、「ブロックチェーン技術を展開し、仮想通貨そのものを作ったLisk本体が行うコーワーキングスペース」という点で国内初の事例で、競合との差別化ポイントになるとしている。

(フリーデスク 3万円/月(税別)月2回開かれるイベントに参加できる)

現時点ですでに複数の入居者が決まっている。細江氏は、具体的な企業名や個人名は明かさなかったが、「これからブロックチェーンの技術を使って新たなビジネスを始めたい方」、「入居者向けに自分たちの商材をプレゼンテーションしたい方」「単純にブロックチェーンの技術情報を集めたい方」から問い合わせが来ていると話した。また業種としてはシステム開発や飲食店もあると明かした。

 (フリー+固定デスク 5万円/月(税別))

「素人にも来てもらいたい」

「素人の方に来ていただいて、ブロックチェーンって何という質問をしていただいてもよい」

細江氏は、ブロックチェーンについてできるだけ噛み砕いてわかりやすく情報発信することに努めたいと語った。「知っている人同士で煮詰めていくのも重要」。しかし、全く知らない人が多いと日本での普及が遅くなる。「グローバルでは相当普及している技術なので…」と細江氏は危機感を感じている。エリートセンターの狙いは「日本のブロックチェーン知識の底上げ」だ。

「技術者だけが来て『作れるけども世の中に発信できない』というのではあまり意味がない。(中略)我々は両方やろうと考えている。日本の民間企業の方々と技術者のマッチングができればいいじゃないかと思っている」

「そもそもJavascriptで書かれたブロックチェーンって何?と皆さんわからないと思う」と話す細江氏。そこは実際に海外でチャレンジをされている専門家や日本の有識者を呼んで、「こういう使い方もあるかもしれないとディスカッションして、可能性が広がったという情報発信をしていけたらと思う」と語った。

(ELITECENTERの目標について語る細江裕二氏)

元々細江氏は、浅草おもてなしプロジェクトの代表を務めていた。その際、「商店街コイン」や「東京都コイン」、「オリンピックコイン」といった商店街コインを使って地域で消費流通の促進するというのがキーワードとして出てきており、それが細江氏の仮想通貨・ブロックチェーンとの出会いになったという。

(移動式のホワイトボードに映されたプロジェクターを囲んでディスカッションもできる)

日本橋という立地

また、エリートセンターは東京駅からタクシーで1メーターほどの位置にある。日本の企業の中心地に近いこの立地を選んだ理由について、細江氏は、仕事終わりのサラリーマンが「パッと立ち寄って情報収集ができるようにしたかった」と話した。

「あまり遠いと、広くてきれいで安くはあるんですけど、足を運びにくい。フラッと仕事終わりでイベントにすぐに来れるような場所の方が、皆さんの情報の拠点になりやすいのではないか」

ブロックチェーン技術の最先端を走る専門家と仕事終わりのサラリーマンが交わる場所。エリートセンターが、日本におけるブロックチェーン普及の底上げを促進できるか注目だ。

Liskとは、仮想通貨の一種。スマートコントラクトを採用した分散型開発プラットフォームである。プログラミング言語にはJavascriptを採用。似た仮想通貨に独自の言語solidityを使用するイーサリアムがあるが、Javascriptの方が広く一般的に利用されているため、Javascript開発者を引き抜いて分散型ネットワーク上で開発してもらう動機づけを設定している。そしてLiskはそのネットワーク上に、開発者らに対してセキュリティと一定レベルの自治を提供する独立したブロックチェーン(サイドチェーン)を実現している。開発者らはこのサイドチェーンを思いどおりに管理できるため、そのサイドチェーン上の誤りがLiskのネットワークに影響を及ぼすことはないと考えられる。サイドチェーンはカスタマイズが可能なため、ユーザーは独自のトークンを作成したり、サイドチェーンの中核にアプリケーションを構築できる。このような機能がユーザーや開発者に利便性を与え、ネットワーク内により多くの人々を取り込むことが目指されている。

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