日本発のブロックチェーンプロジェクトの育成を目指すHashHub(東京・文京)は2日、拠点となるコワーキングスペースを公式に開所した。文京区本郷の東京大学近くに拠点を構え、アカデミックな雰囲気があるこの地域を、日本の仮想通貨・ブロックチェーン開発の中心地にしていく。東晃慈CEOは意気込みを話した。

 HashHubコアメンバー3人(東晃慈氏・平野淳也⽒・ビール依⼦⽒)のインタビュー記事はこちら

 東CEOによると、渋谷や六本木には仮想通貨交換業社が、大手町にはフィンテック企業が集まっている。福岡県では先月27日、東アジア最大のブロックチェーンコミュニティを創設を目指すブロックチェーンコンソーシアムが発足している。HashHubは同様に、本郷周辺をブロックチェーン開発の中心地にしたいと考えている。ブロックチェーンを使ったアプリやプロトコル開発をしている学生個人や学生団体、仮想通貨のハードウォレット開発やライトニングネットワークの研究開発を手がける企業が本郷周辺にいるため、ブロックチェーン技術を使った開発が盛んになる土壌があるという。コワーキングスペースの入居者や、本郷のブロックチェーン企業のネットワークを広げて、将来的には地域全体をブロックチェーンの街とする構想を話した。

 東CEOは、HashHubと多くのインキュベーション施設との大きな違いは、自社でのプロダクト開発にあると話す。その自社プロダクト開発の第1弾をこの日に発表した。ライトニング開発を手軽に出来るようにするツール「Lightning for Azure」と、ライトニングのノードの自社運用「HashHub LN node(仮称)」だ。9月までにはノードの運用を開始し、LNの流動性問題にアプローチする。世界で最も流動性の高いノードにするという。

 東CEOは以前のインタビューで、ライトニングやセカンドレイヤーなどのドメインで知名度を高め、日本市場に関心のある海外プロジェクトの窓口になりたいと話した。先月31日の海外ブロックチェーンハブとの提携発表はその一環となる。韓国の「nonce」と米国サンフランシスコの「STARFISH」とブロックチェーンハブアライアンス「Catalyst」を組成。HashHub入居者らとのビジネスマッチングや情報の共有などで連携していく方針だ。

 HashHubが目指す姿のイメージは、米国でイーサリアム関連のインキュベーションをしているConcenSys(コンセンシス)に近い。トークン上場済みの分散型予測市場Gnosisや、イーサリアムのネットワークにブラウザからアクセスできるようにするツールのメタマスクなど多数のプロジェクトを連続的に輩出している。Hashhub発の世界的プロジェクトが誕生するのに期待したい。

自由席

チーム席や会議室にはブロックチェーンに因んだ名前がついている