17年の急激なビットコイン価格の上昇は、一般の人々にその存在を知らせるのに十分だった。その結果、ブームにあやかろうと数多くの仮想通貨が誕生。有名人を使ってこれらコインを宣伝する潮流が生まれた。
芸能人の影響力を使った宣伝手法
数十年にわたり、俳優やミュージシャンは様々なモノやサービスの宣伝に利用されてきた。タバコ業界は有名な例だ。何十年もの間、人気映画で映画スターを使って喫煙を広めてきた。
今日では様々な分野のセレブリティが仮想通貨の世界に進出している。
『マトリックス』で有名なハリウッド俳優キアヌ・リーブスは、ダークウェブの混沌とした世界を探るドキュメンタリー『ディープウェブ』のナレーションを務めた。
Messi is joining the blockchain revolution as @SIRINLABS ambassador! Crazy fun times
— Moshe Hogeg (@moshehogeg) December 7, 2017
Big honor for us to partner up with him pic.twitter.com/vrp4AzGTuj
世界的に有名なアルゼンチンのサッカー選手リオ・メッシは、ブロックチェーンのハードウェアを生産する企業の宣伝に起用された。派手なボクサーのフロイド・メイウェザーは昨年イーサリアムベースのICOに参画、ルイス・スアレスも全く同じプロジェクトに関わった。
ラッパーの50セントは、14年発売のアルバム『アニマル・アンビション』の支払いをビットコインで受けて、700万ドル以上の利益を得たと言われている。彼は4年間貯め込んだビットコインを先月現金化し、何百万ドルを見せびらかしてみせた。
A little bitcoin anyone? LOL. l know l make you sick but excuse me...I’m getting to the bag ? #denofthieves pic.twitter.com/DCJu2thDr9
— 50cent (@50cent) January 23, 2018
アメフトのファンも、NFLのハーフタイムの休憩中にブローカー企業TDアメリトレードによるビットコインを扱った広告に曝された。仮想通貨の24時間取引サービスを宣伝するのに歌手のライオネル・リッチーを起用していた。
画像ソース: Ispot.tv
セレブリティの中にはややこしい仮想通貨プロジェクトに関わった人もいる。アメリカの俳優スティーブン・セガールは2月20日にTwitterで、Bitocoiin2Gen(B2G)のブランド大使になったことを発表。
B2Gはビットコインの第2世代バージョンと謳うイーサリアムベースのICOのようだが、すでに多くの取引所やメディアが同プロジェクトを詐欺と呼んでいる。
From Team Seagal
— Steven Seagal (@sseagalofficial) February 20, 2018
Steven has just become the worldwide ambassador for the Bitcoiin 2nd Generation crypto currency. Press Release https://t.co/aY13wDCbzh
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Team Seagal
日本ではテレビに仮想通貨が登場
日本には貪欲な仮想通貨市場があり、かなり目を引く、そして典型的に日本的なショービジネスの見せ物を生み出した。
画像ソース: Agence France-presse
仮想通貨少女は歌と踊りで仮想通貨賛歌を広める日本のポップグループである。この日本のポップグループは結成時には多くの注目を集めた。歌手のそれぞれがビットコインやイーサリアムといった人気の仮想通貨を代表。リードシンガーで19歳の成瀬ららは「エンターテイメントを媒体として、一般の人々の理解を広めるために、将来的に間違いなく存在し続ける少数の通貨を厳選した」としている。
仮想通貨ブームはそこで終わってはいない。日本のテレビ局は仮想通貨取引所のCMを流している。ジャパンタイムズによると、17年の4月に仮想通貨のテレビコマーシャルを最初に放送したのは日本最大の取引所ビットフライヤーで、他社がその後数カ月に渡ってその例に倣った。ビットフライヤーと現在物議をかもしている取引所コインチェックは、トヨタ、マクドナルドジャパン、そしてNTTドコモといった産業界そしてコマーシャル界の大御所と同じくらいの広告を放映している。
下の写真に見られる通り、取引所は繁華街での広告板に広告を出すところまで行っている。
クレジット: Cory Baird/Japan Times
SNSでは仮想通貨関連の広告が禁止に
多くの取引所が合法なビジネスを行い、セレブリティが有望なブロックチェーンや仮想通貨のスタートアップと提携する一方、仮想通貨の世界で多くの詐欺により数千人がお金を失っている。
その一例がビットコネクトである。紹介システムと貸付プログラムによりポンジスキームを行なっていると批判され続けている。同社は1月17日に取引所と貸付プラットフォーム を閉鎖し、投資家の中には損失を取り戻すための集団訴訟を起こした人たちもいる。
この件は仮想通貨詐欺の中でも大規模な例だが、一部の人々に嫌な印象を与えた。
仮想通貨コミュニティからは無関心で迎えられたが、Facebookは同ソーシャルメディアプラットフォームでの仮想通貨の広告を全面的に禁止することを発表している。
Facebookの言い分は「詐欺師が利益を得ることを難しく」し、仮想通貨やICOを宣伝する怪しい企業からユーザーを守っている、というものだ。
その目的においては、この動きは理解できるものであり、仮想通貨の提供を装う詐欺から無知な投資家を守ることができるかもしれない。しかし、すべての仮想通貨を同一視するこの方針は、合法で規制された取引所やブロックチェーン関連のスタートアップによる広報戦略に影響を与えるかもしれない。