米証券取引委員会(SEC)よ、一体どうなっているんだー。

ビットコインETF承認前夜におこった前代未聞の偽情報投稿事件について、SECとゲイリー・ゲンスラー委員長を責める声が上がっている。米証券取引委員会(SEC)の公式Xが何者かに乗っ取られ、「ビットコインETF承認」の偽情報を拡散したのだ。

ビットコインETF承認を告げる偽投稿 出典: 米SECの公式Xアカウント

この誤った投稿は20分間にわたってオンラインで拡散されビットコインは1000ドル以上上昇し一時48000ドル近くまで急進。その間に投稿は少なくとも440万回の閲覧があった。

トランプ政権時代に駐日大使も努めた共和党のビル・ハガティ上院議員は「上場企業がこのような市場に大きな影響を与えるミスを犯した場合、SECは責任を問うだろう。今回の出来事についても議会は答えを求める必要がある。これは許されることではない」とツイート。SECを突き上げる構えだ。

同じく共和党のシンシア・ルミス上院議員も、誤った投稿に至った経緯についてSECに透明性を求めた。

「ソーシャルメディアで行われたような詐欺的な発表は市場を操作できてしまう可能性がある。何が起こったのか透明性が必要だ。」(ルミス上院議員)

背景にあるのが仮想通貨規制権限をめぐる民主党と共和党間の争いだ。表向きにはSECとCFTC(米商品先物取引委員会)間の争いとして繰り広げられてきた。

ところが民主党であるバイデン政権下で米仮想通貨規制をとりしきろうとしてきたSECの評判は2022年に入って失墜。FTX事件を防げなかっただけでなく、暗号資産は証券だと主張してきた数々の大型訴訟にも敗訴した。米SECとしてはビットコインETF承認を通してSECの規制権限の正統性をみせつけたいところだった。

今回の件で共和党からSECを突き上げる声が増えるものとみられる。

米メディアフォックスビジネスのチャールズ・ガスパリーノ氏は「(今回のSECアカウントによる投稿が)BTC価格を上下させたため、市場操作に関して自身を調査する必要があると証券法の専門家がのべている」とした。

ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームズ・セイファート氏は「ゲーリー・ゲンスラー委員長はこの件で誰かの首を切ろうとするだろう(正直、私も彼の立場ならそうする)。」

米投資ファンド、ケインアイランド・オルタナティブアドバイザーズの投資マネージャー、ティモシー・ピーターソンは「SECが自身のソーシャルメディアアカウントさえ守れないのに、数億人の投資家をどうやって守るのか。

米暗号資産取引所大手ジェミナイでかねてよりビットコインETFの上場申請をおこなってきたキャメロン・ウィンクルボス氏も「SECは市場を操作し、米国の投資家を傷つけることが得意であることを示した」と辛辣だ。

ちなみにSECはXアカウントがどのように不正アクセスされたかについての詳細を提供していないが、不正なツイートを投稿したのはスタッフではないと否定している。

ブルームバーグのETFアナリスト・エリック・バルチュナス氏は、今回の事件にかかわらず、1月10日の東部標準時午後4時から5時の間にビットコインETFが公式に承認されることを依然として期待しているとのべている。

最後まで目が離せない状況が続きそうだ。

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