半導体大手エヌビディア(Nvidia)に対して提起された集団訴訟の訴状では、同社がゲーム関連収益の中で仮想通貨(暗号資産)マイナーへのGPU販売に依存している点を軽視し、証券取引法に違反していると指摘している。
5月14日に提出された修正訴状によると、エヌビディアが意図的に誤解を招くような発表を行ったと指摘。2017年と2018年の仮想通貨マイニング関連のGPUの売上高が10億ドル(1070億円)を上回っていると主張している。
エヌビディアは2018年後半に売上高が7%下落したと発表した後、株価が30%近く下落。その後、投資家がエヌビディアに対する集団訴訟が相次いだ。
10億ドルの売上高を隠蔽?
訴状の中で、エヌビディアが「仮想通貨関連の収益への依存度が低いと市場に信じ込ませた」と非難し、「四半期ごとのゲームセグメントの売上高増はゲーマーからの強い需要によるものである」と誤解を招くようにしていたと述べている。
訴状では、エヌビディアが仮想通貨マイナーへの11億2600万ドルの売上高を覆い隠していたと推定する研究を引用している。一方、RBCキャピタルマーケッツによる別のマーケットでは13億5000万ドルの売上高が、エヌビディアによって「難読化」されていたと結論付けている。
2017年に急増したGPU需要
2017年、エヌビディアの「GeForce GPU」は仮想通貨マイナーの間で人気があり、同社のゲーム部門に莫大な利益をもたらした。
2017年5月、エヌビディアは仮想通貨マイニング用に特別に設計されたチップ「Cyrpto SKU」を発売した。そのため、売上高は包括的なビジネスセグメントで記録されている。しかし、Crypto SKUは供給が追い付かず、多くのマイナーはGeForceを購入し続けた。
原告側は、GeForceの販売を牽引していた仮想通貨マイナーの需要急増にもかかわらず、エヌビディアはゲーム部門の売上高はゲーマーによるものだと主張し続けたと指摘する。
仮想通貨マイナーの需要を過小評価か
また集団訴訟の原告側は、エヌビディアは仮想通貨関連収益が、Crypto SKUの実体と比較して小さすぎると主張。仮想通貨市場に依存していることを隠そうとしていたと主張している。
「被告はエヌビディアの売上高急増が気まぐれな仮想通貨マイナーの結果であったことを公式に認めることを拒否した。投資家が仮想通貨関連の需要の変動性を反映し、株価を割り引かれないようにした」と、原告側は主張している。
「被告はGeForce GPUに対するマイナーの熱烈な需要を利用する戦略を選び代わりに、GeForceの売上高急増はマイナーではなくゲーマーからのものであると投資家に誤って伝え、エヌビディアの中核的なビジネスが仮想通貨市場ではなく、ゲーム市場であるようにみせた」
エヌビディアに対する集団訴訟は、米カリフォルニア州の連坊裁判所で審理されている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン