ポーランドの個人信用情報機関、ビューロ・インフォルマーチ・クレディトーヴェ(BIK)は、顧客データ保管システムにブロックチェーン技術を導入するため、英フィンテック企業のビロン社と提携した。ビロン社が14日にプレスリリースで公表した。
プレスリリースによると、中東欧最大の個人信用情報機関で、複数のポーランド大手銀行が保有するBIKは、1億4000万件のクレジットヒストリーを追跡している。BIKの代表取締役を務めるマリウシュ・ホレヴァ氏は、今回のビロン社との提携は「長期的なもの」であり、「ブロックチェーン技術により、金融セクターが行ってきた顧客との機密データのやりとりが変わると考えている」と述べた。
同氏はビロン社と協力し、耐久性の高い情報媒体に関する法的要件に加え、今月施行されるEU一般データ保護規則(GDPR)の要件も満たすソリューションを開発したと強調した。GDPRの影響をふまえ、GDPRに規定されている個人情報の削除権についても考慮しながらシステムを実用化していくとみられる。
BIKとビロン社は、17年後半からポーランドの8つの銀行の協力のもと、ビロン社のブロックチェーン構造を用いたパイロット事業を実施し、1月あたり1億5000万件以上の文書を発行できるシステムを確立したという。
プレスリリースによると、ビロン社は自らを「文明化されたブロックチェーン」企業と称し、ブロックチェーンの導入により最終的には法定通貨の処理を目指すと説明している。同社は仮想通貨の代わりに、09年の欧州委員会の電子マネー指令により法定通貨として認められている「電子マネー」を使用する。同社のアンドジェイ・ホロシュチャクCEOはこのデータシステムについて次のように話す。
「これは情報管理における真の革命の始まりだ。閉鎖的な中央データベースの制約から、すべての利用者が自身の身元を管理できる民主的なブロックチェーン型インターネットに移行できるようになった...(多くのブロックチェーン技術が)まもなく、電気通信や保険、公益事業などの産業で...信頼性の高い文書管理システムを構築するために導入されるだろう」
オランダ経済・気候政策省は先週、国家ブロックチェーン研究計画を策定している。同計画では、データ管理におけるブロックチェーン技術の可能性に着目し、「忘れられる権利」や自己証明型身分証明の管理などのプライバシーへの対策が盛り込まれた。また、EU域外でもセキュリティ強化とオートメーション化に重点的に取り組む動きが進んでいる。中国審計署は、膨大なデータを管理するインフラを合理化するため、ブロックチェーンを活用したソリューションを検討している。