仮想通貨と株式の取引プラットフォームeToroがナスダック市場に上場し、初日の株価は約30%上昇する好調なスタートを切った。
ヤフーファイナンスのデータによると、eToro(ティッカー:ETOR)の株価は5月14日の終値で67ドルとなり、公開価格52ドルから28.9%上昇。時価総額は55億ドルを超えた。一時は74.26ドルまで上昇したが、その後やや下落し、取引終了後の時間外では66.53ドルに落ち着いた。
前日の5月13日、eToroは新規株式公開(IPO)の規模を当初の5億ドルから6億2000万ドルへと引き上げた。提示していた価格レンジ(46〜50ドル)を上回る52ドルで価格を決定し、最終的にはeToroと既存株主が均等に分け合う形で合計1192万株を売り出した。
eToroによれば、ブラックロックが運用するファンドや口座が最大1億ドル分の株式購入に関心を示していたという。
eToroオーストラリアのマネージングディレクターであるロバート・フランシス氏はコインテレグラフへのコメントで、「今回の上場は、小口投資が一過性のブームではなく、長期的トレンドであることを示している」と述べた。
規制当局への提出書類によれば、eToroは2024年の仮想通貨関連収益(取引手数料や出金手数料など)が121億ドルに達したと報告している。これは2023年の34億ドルから大幅に増加した。一方で、2025年第1四半期における仮想通貨の取引手数料収入の割合は、前年同期の43%から37%へと減少すると予測している。
今回のIPOはゴールドマン・サックス、ジェフリーズ、UBSインベストメントバンク、シティグループが主幹事を務めた。
IPO市場に反発の兆し
今回の上場は、トランプ米大統領による一連の関税政策によって停滞していた米国のIPO市場において、反発の兆しを示すものとなった。eToroは2025年1月にSECへ非公開で上場申請を行い、3月24日に正式発表を行ったが、4月2日の関税発表を受け、IPOのタイミングを延期していた。
eToroは2007年に創業し、2021年には特別買収目的会社(SPAC)との合併による上場を目指していたが、市場環境の悪化とインフレ、利上げの影響で2022年に計画を撤回した経緯がある。
仮想通貨取引所クラーケンや、ステーブルコイン発行企業サークルも2025年中の上場を検討中とされている。サークルは4月1日にSECに上場申請を提出したが、トランプ政権の関税発表を受けて翌日に計画を一時停止した。
仮想通貨投資会社ビットワイズは2024年12月の時点で、2025年中に上場する可能性がある企業として、クラーケンやサークルのほか、仮想通貨取引所フィギュア、仮想通貨銀行アンカレッジ・デジタル、ブロックチェーン分析会社チェイナリシスなどを挙げている。