仮想通貨取引所クラーケンが、取引プラットフォーム「ニンジャトレーダー」の15億ドル規模の買収に近づいていると報じられている。この買収により、クラーケンの顧客基盤が拡大し、米国市場での仮想通貨先物およびデリバティブ取引の提供が可能になる見込みだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、関係者の話を引用し、3月20日(米国時間)の朝までに取引が確定する可能性があると報じた。

ニンジャトレーダーは先物委託業者として登録されているため、買収が実現すれば、クラーケンのサービス提供範囲が拡大することになる。

報道によると、今回の買収により、クラーケンは株式取引や決済など、複数の資産クラスに対応する戦略を強化できる。また、ニンジャトレーダーは英国、欧州大陸、オーストラリア市場への進出を加速できるとWSJは報じている。

ニンジャトレーダーは、クラーケンの傘下に入りながらも独立したプラットフォームとして運営を継続する予定だという。

コインテレグラフはクラーケンとニンジャトレーダーにコメントを求めたが、すぐには返答は得られなかった。

クラーケンの成長戦略と市場環境の変化

クラーケンは2024年に、15億ドルの収益、6,650億ドルの取引高、250万件の資金供給済み顧客アカウントを記録した。一方、ニンジャトレーダーは、180万人以上の顧客に先物取引ツールを提供している

クラーケンは、昨年11月に非代替性トークン(NFT)マーケットプレイスの閉鎖を発表した際に、商品・サービスの拡充を目指す方針を示していた。

また、3月3日には、米証券取引委員会(SEC)がクラーケンに対する訴訟を取り下げた。当初、SECはクラーケンが未登録のブローカー、ディーラー、取引所、清算機関として活動していたと主張していたが、訴訟は「棄却済み」となり、罰則なしで解決した。

米国の規制緩和がクラーケンに追い風

クラーケンは、ドナルド・トランプ大統領の政権下での規制緩和の恩恵を受ける企業の1つとみられている。トランプ氏は、米国を「仮想通貨の首都」にすることを公約しており、その影響で仮想通貨企業の成長機会が広がる可能性がある。

クラーケンは2011年にタン・ルー氏、マイケル・グロナーガー氏、元CEOのジェシー・パウエル氏によって設立され、2023年7月には、元データ分析責任者のアミール・オラド氏がCEOに就任した。

クラーケンは、スポット取引量で常に世界トップ7〜15位の仮想通貨取引所にランクインしており、過去3カ月間の1日あたりの取引量は3億9000万ドル〜44億ドルの範囲で推移している