仮想通貨取引所クラーケンが、自社独自のステーブルコインの発行を検討していると報じられている。これは、欧州の規制により仮想通貨取引所がテザーのUSDTをプラットフォームから上場廃止する動きに対応するものとみられる。

ブルームバーグの報道によれば、クラーケンは米ドルにペッグされたステーブルコインを検討しているという。

この動きの背景には、欧州連合(EU)の暗号資産市場規制(MiCA)によって競争環境に変化が生じたことがある。MiCAは、欧州の暗号資産サービスプロバイダー(CASP)に対し、USDTなどのMiCA非準拠トークンの上場廃止を求めている。

報道によると、クラーケンはアイルランドの子会社を通じて、自社独自の米ドル連動ステーブルコインの発行を計画している。またクラーケンは2025年初頭に「Ink」と名付けた独自のブロックチェーンを立ち上げる計画を明らかにしている

欧州におけるUSDTの上場廃止

クラーケンは2月はじめ、欧州経済領域(EEA)におけるUSDTの段階的な上場廃止計画を発表した。その理由として、「規制環境の急速な変化」を挙げている。

円滑な上場廃止を進めるため、クラーケンは2月27日までにUSDTを「売却のみ(sell-only)」のモードに設定し、3月24日にはUSDTの現物取引を全面的に停止する計画だ。

クラーケンは2月初旬に欧州の金融商品市場指令(MiFID)ライセンスを取得したが、MiCAライセンスはまだ取得していない。

EUのMiCA規制を受け、多くの取引所が独自のステーブルコインの発行を検討している。

マルタでMiCAライセンスを取得した仮想通貨取引所クリプト・ドットコムも、2025年第3四半期までに独自のステーブルコインを発行する計画を発表している

上場廃止の動きがあるものの、USDTは依然として世界最大のステーブルコインであり、時価総額は1420億ドルに達している。これはデジタル資産全体で4番目の規模である。

コインゲッコーのデータによれば、USDTはクラーケンにおいても最も取引されるデジタル資産となっており、USDT/USDおよびUSDT/EURの取引ペアが取引所の取引量の30%以上を占めている。

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クラーケンでのトップ5の取引ペア Source: CoinGecko