ベネズエラにあるケンタッキー・フライド・チキンは、仮想通貨ダッシュによる決済の受付を始めることになりそうだ。フォーブスが7日に報じた。ベネズエラでは急激なインフレを背景に、仮想通貨の利用が拡大している。

フォーブスによれば、ベネズエラの首都カラカスに展開するKFCの店舗で受け付けを始める。ダッシュ・マーチャント・ベネズエラ、ダッシュ・ヘルプ、ダッシュ・テキストの共同創業者であるアレハンドロ・エチェベリア氏がこの取り組みを進めている。

インターネットやスマートフォンの普及がまだ進んでいないベネズエラでは、QRコードなどを使うかわりに、SMSを使ったシステム「ダッシュ・テキスト」で店舗の決済を行うという。

ダッシュはベネズエラで急速に成長している。

今年8月、ダッシュの開発チームであるダッシュコアグループのライアン・テイラーCEOは、メディアとのインタビューの中でベネズエラが「世界第二位の市場になっている」と語っている。「毎月、ベネズエラから何万ものウォレットがダウンロードされている」と語っていた。

それを裏付けるように、ダッシュの決済利用を集約したサイトDiscover Dashのデータを見ると、ベネズエラでダッシュの決済を受け入れている店舗は2427にのぼる。この数字は、米国(530)やコロンビア(181)、ドイツ(146)を大幅に上回り、突出した数字となっている。

前出のエチェベリア氏は、「最初は、食料品店や小規模な家族経営の企業で採用され始めたが、現在はより確立されたビジネス事業者を引き付けている」と語る。ベネズエラでは大手スーパーのウォルマートや、飲食チェーンのサブウェイなどでもダッシュが使えるという。

仮想通貨の利用がベネズエラで拡大しているのは、急激なインフレが背景にあるようだ。

ブルームバーグがベネズエラのハイパーインフレを追跡調査するために作成した、コーヒー1杯の平均価格をサンプルとするカフェ・コン・レチェ指数によると、ベネズエラの年間インフレ率は、 200,000%まで上昇した。

エチェベリア氏はフォーブスに対して、「人々が決済手段、そして価値の保存手段として」強い通貨を求めていると指摘する。

ベネズエラでは政府自らが国営仮想通貨ペトロを発行しているのは有名だ。この石油を裏付けとした仮想通貨は、11月から市民への法定通貨での販売が始まっている。ベネズエラのマドゥロ大統領はペトロを国内の計算単位とすることや国際決済で使用するなど、そのユースケースを増やそすことを表明している。その一方でマドゥロ大統領は11月29日、ペトロの価格を3600ボリバルから9000ボリバルに引き上げを行っている