米証券取引委員会(SEC)が提訴したコインベースとバイナンスの訴訟を担当する米連邦地方裁判所の判事の名前が、裁判所提出文書から明らかになった。SEC対コインベース訴訟は、ニューヨーク南部地区裁判所のジェニファー・H・リアデン判事が担当する。一方、SEC対バイナンス訴訟は、コロンビア地区裁判所のエイミー・バーマン・ジャクソン判事が対応する

SEC対コインベース : ジェニファー・H・リアデン判事

53歳のリアデン判事は、2022年1月に米連邦地裁判事に任命された。リアデン氏の任期は短いが、最近バイナンスUSと関連した仮想通貨関連の問題で判決を下した。

リアデン氏は3月27日、バイナンスUSと破産した仮想通貨貸付プラットフォームのボイジャーデジタルとの間の10億300万ドルの取引を一時停止する米司法省の緊急動議を承認した。この決定により、影響を受けたボイジャーの顧客は、支払いを受けるまでさらに時間がかかることになった。リアデン氏は、被告の損害と原告との利益を比較する「困難のバランス」テストを適用して、米国政府に有利な決定を下した。リアデン判事は、ボイジャーの顧客の利益よりも公共の利益がより危険にさらされていると考えたことになる。

その後、「米国における敵対的で不確かな規制環境」を理由に、バイナンスUSはこの取引から撤退した

リアデン氏は、判事として務める前にビジネス法関連の弁護士として働いており、1996年にニューヨーク・ロースクールから法学博士号を取得した。判事の経歴や経験、他の事件での判決は、今後の事件の結果を直接示すものではないことには留意する必要があるだろう。

SEC対バイナンス: エイミー・バーマン・ジャクソン判事

68歳のジャクソン判事は、2011年3月に米国地裁判事に任命された。それ以前に、ハーバード・ロースクールで法学博士号を取得した。ジャクソン氏は888件の訴訟に意見を出しているが、仮想通貨関連の紛争に関連するものはないようだ。

最近ではいくつかの政治的な事件で判決を下している。ジャクソン判事は、前大統領ドナルド・トランプ氏の元顧問兼友人であるポール・マナフォート・ジュニア氏とロジャー・J・ストーン・ジュニア氏に、2019年のロシアゲート捜査に関連する一連の訴訟でそれぞれ43か月と40か月の禁固刑を言い渡した。トランプ氏は当時、ジャクソン判事とその決定に対して批判的なツイートをしている

ジャクソン判事は5月、前大統領ドナルド・トランプ氏に関連する他の2件の訴訟に関連する証言録取のを阻止するよう求めた米司法省の動議を承認している

ジャクソン氏は、1980年から1986年までコロンビア地区の連邦検察官補を務めていた。彼女はいくつかの重要な殺人事件や性的暴行事件に関与した功績で、司法省特別功績賞を受賞している。

SECは、6月5日にバイナンス、6月6日にコインベースを訴え、両取引所が証券法に違反したと主張している。特に、規制当局が未登録の証券とみなす仮想通貨を提供していたとされている。またバイナンスは、米国で違法に営業していたとされている。バイナンスとコインベースは、それぞれの訴訟に対して「強力に」反論するとしている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン