米連邦地方裁判所のアナリサ・トーレス判事が29日、元SEC法人金融部長のウィリアム・ヒンマン氏が書いた文書を公開する判決を下した。この文書は、ヒンマン氏が2018年6月に開催された「Yahoo Finance All Markets Summit」で行ったスピーチに関するものだ。

ヒンマン氏はスピーチの中で、イーサ(ETH)は証券ではないと述べた。リップル社は、リップル社のXRPの販売が米国証券法に違反するとしてSECが起こした裁判の重要な証拠となるスピーチと考えている。ただし、同社が示唆するほど意味のあるものになるかどうかは、まだ不明だ。このスピーチとそれに至るまでのヒンマン氏の行動をめぐる状況は、かなりの混乱の元になっている。

トーレス判事は、電子メールと演説の草稿はSECが主張するような審議過程秘匿特権で保護されないとサラ・ネットバーン地裁判事が宣言したことを受けて、文書公開に対するSECの反対を押し切った。その後、SECはこの文書に対して弁護士・依頼者間の秘匿特権を主張したが、7月にネットバーン判事によって却下された。トーレス判事の判決は、その判決に対するSECの反論を覆した。

SECは2020年12月、リップル社と現CEOのブラッド・ガーリングハウス氏、前CEOのクリス・ラーセン氏を相手に、同社が2013年に資金調達に使ったXRPが証券であるとして提訴している。この訴訟は、SECの訴訟としては比較的珍しい例で、和解で終わるのではなく、裁判に移行するため、先例となる判断が下される可能性がある。

この訴訟は当初、リップル社にとって不利になると見られており、同社は様々な戦略を駆使して防衛を図ってきた。リップル社とSECは9月17日、米国ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に略式判決を求める申し立てを行った。