日本国内で仮想通貨ETF(上場投資信託)を組成・販売することはできないことが明確になった。

金融庁は27日付で「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」を改正・適用パブリックコメントへの回答の中で、仮想通貨ETFは「組成・販売できなくなる」と明言している。

金融庁は9月30日に改正案を公表し、パブリックコメントを募集していた。金融庁は、今回そのパブリックコメントへの回答の中で仮想通貨ETFの組成・販売ができなくなると答えている。

「暗号資産ETFについては、ETF自体が投資信託等である場合、本監督指針改正を踏まえると、国内で組成・販売することはできなくなるものと考えられます」

また海外で組成された仮想通貨ETFに対して投資する投資信託などについても、同様の考えであるとしている。

仮想通貨を投資対象とする金融商品について、金融庁は投機を助長することを懸念しているようだ。

「暗号資産への投資については、投機を助長している等の指摘もあり、当庁(金融庁)としては、このような資産に投資する投資信託等の組成・販売には慎重に対応すべきであると考えています」

ステーブルコインへの投資は?

パブリックコメントの中では、ステーブルコインならば「価格変動や流動性等のリスクが高いとはいえない」とし、投資対象になり得るかを質問するものもあった。

これに対して金融庁は、あくまで消極的な姿勢のままのようだ。

「いわゆるステーブルコインは多種多様であることから、一概に回答することは困難ですが、金融庁としては、十分な利用者・投資家保護が図られる必要があると考えており、慎重に対応して頂きたいと考えております」

プロ向けでも「適切ではない」

さらに機関投資家などプロに限定したものであっても、金融庁は「適切ではない」との考えを示している。

「現時点においては、適格機関投資家についても、年金基金や地域金融機関等のように、一般国民の資金の運用を担っている面もあることを踏まえると、適格機関投資家私募・公募といった募集方法や投資家属性にかかわらず、投資家に過度な価格変動リスク等を負わせる可能性が高いと考えられる非特定資産等に投資する投資信託等、投資信託・投資法人制度としての信頼性を損ねかねない商品の組成や販売は適切ではないと考えられます」

ただ、将来的に仮想通貨の取引に関する記録が蓄積され、資産としての安全性が高まれば、「機関投資家に対する暗号資産投信の組成・販売が適切となる可能性はある」とは述べている。