デジタル決済企業のブロック(Block)は、同社のVerseトークンに関わる商標権侵害の疑いで、ロジャー・バー氏のビットコイン・ドットコム(Bitcoin.com)に対して法的措置をとることになった。ブロックは、2022年5月に3360万ドルでVerseトークンのプライベートセールを行った。

ビットコイン・ドットコムのデニス・ジャルビスCEOと同社の法律顧問ヨゼフ・コレメント氏に宛てたレターで、ブロックの代理人弁護士はビットコイン・ドットコムが「Verse」を使用していることがドイツの商標法における商標侵害にあたると主張。2022年8月10日付のこのレターは、ブロックの法律顧問であるBird & Birdがドイツでの商標権侵害事件を初めて打ち出した2022年7月4日の通知書に続くもの。この件に詳しい人物がコインテレグラフにこのレターを明らかにした。

商標権侵害の疑いは、ブロックが2020年にヴァース・テクノロジーズ・インクとディセントラライズド・グローバル・ペイメンツS.L.を買収したことに関連している。「ヴァースとディセントラライズドのポートフォリオには、「VERSE」という名称のP2P決済アプリも含まれていた。買収以来、当社のクライアントはこのアプリを運用している」とレターには書かれている。

ブロックの法律顧問は、「VERSE」アプリはドイツを含むヨーロッパで利用可能で、AppleとAndroidの両方のデバイスでアクセスできると説明。レターでは、「VERSE」の単語を含む商標に対するブロックの権利と、モバイル機器用のコンピュータおよびアプリケーション・ソフトウェアに対する優先権について詳しく記されている。

「『VERSE』という名称の使用は、ドイツ商標法に基づくクライアントの商標を侵害する」とレターは結論づけ、こう付け加えた。

「従って、クライアントは貴社に対し、侵害行為の停止を請求する。さらに、クライアントは、侵害行為の範囲に関する情報を求めるとともに、侵害行為によってクライアントが被った、または将来被ることになるすべての損害に対する補償を求める請求権を有している。最後に、クライアントは、このレターに関連して弊社が負担した費用の払い戻しも受ける権利がある」

ブロックの法律顧問は、ビットコイン・ドットコムが欧州連合におけるVerseトークン事業を「中止し、停止する」か、「違反の場合に1万400ドル(1万ユーロ)の契約上のペナルティを受ける」よう要求した。

ビットコイン・ドットコムは、初期のビットコイン(BTC)投資家であるロジャー・バー氏が所有しており、同氏は2019年8月1日までCEOを務めていた。ビットコイン・ドットコムは仮想通貨取引所とウォレットを運営し、仮想通貨市場に関するニュースを毎日提供している。

ジャック・ドーシー氏が2009年に設立したブロックは、ブロックチェーン技術とビットコインに焦点を移し、2021年12月にスクエアからブランド名を変更した。ドーシーは2021年11月にTwitterのCEOを退任して以来、ビットコインのハードウェアと決済ソリューションにますます注力している。

バー氏とドーシー氏は、長年にわたり個人的に争っている。2019年にはドーシー氏がライトニングラボのCEOであるエリザベス・スターク氏との恋愛関係を疑われ、そのためにドーシー氏がライトニング・ネットワークを支持しているとバー氏が主張。ドーシー氏がCEOだった頃、ツイッターがビットコイン・ドットコムのハンドルを検証しなかったのは、こうした個人的な問題が原因ではないかと推測したことがある。