外国直接投資(FDI)の誘致を担う政府機関であるアイルランド産業開発庁(IDA)が、アイルランド国内のブロックチェーンの投資と開発を促進するイニシアチブを主導する。現地メディアのアイリッシュ・タイムズが11日に報じた。

 アイリッシュ・タイムズによると、IDAは「ブロックチェーン・アイルランド」プロジェクトを立ち上げることになっているという。このプロジェクトは、ブロックチェーン技術を振興し、ブロックチェーン技術を扱う国際企業を誘致し、また、そのような国際企業と連携することを目的としており、ブロックチェーンに重点を置く国際企業にとって「理想的な場所」としてアイルランドを宣伝するオンラインプラットフォームになる。

 このプロジェクトは、IDAが率いるフォーラムであるアイリッシュ・ブロックチェーン・エクスパート・グループ(IBEG)、アイルランド財務省、アイルランド商務庁、およびイーサリアム(ETH)の共同設立者ジョー・ルービン氏により設立された米国に拠点を置くソフトウェア開発スタジオのコンセンシスにより立ち上げられた。

 今年5月、アイルランド国立大学ゴールウェイ校は、ブロックチェーンが経済成長に良い影響を与え、政府機構と事業のあり方を改革する可能性について強調しながら、アイルランド国内においてブロックチェーン技術を推進するよう政府に求めた

 アイルランドは近年、自らをテクノロジー事業の拠点として位置付けており、12.5%という低い法人税率と研究開発に対する税控除で外国企業を誘致している。

 サークル、エイドテック、アークネットなどのアイルランドにある多数の企業が、ブロックチェーン技術を用いてアプリケーションを開発しており、デロイトはブロックチェーンに特化した研究所をダブリンに設けている。マスターカードは今年4月、決済分野でのイノベーションを加速するため、アイルランドでさらに多くのブロックチェーン技術の専門家を採用することを発表した

 アイルランドは、欧州委員会(EC)が今年設立した「欧州ブロックチェーン・パートナーシップ」の加盟国でもある。このパートナーシップは、「加盟国の協力手段となるもので、公共および民間部門の利益のために、デジタル単一市場全体で技術・規制分野の経験や専門知識を交換し、EU全体規模のブロックチェーン・アプリケーションの立ち上げを準備していくもの」だ。