欧州委員会(EC)は10日、ECのデジタルデー2018で、欧州22カ国からなる「欧州ブロックチェーン・パートナーシップ」の設立宣言に署名した。欧州委員会が10日に発表した。

 EC副委員長はスピーチで、欧州がブロックチェーンのイノベーションや人工知能(AI)の開発に取り組むことで、デジタルテクノロジーを主導していくと述べた。

 このパートナーシップは、加盟国の協力手段となるもので、公共および民間部門の利益のために、デジタル単一市場全体で技術・規制分野の経験や専門知識を交換し、EU全体規模のブロックチェーン・アプリケーションの立ち上げを準備をしていくものだ。

 デジタル経済・社会担当のマリヤ・ガブリエル委員は、ブロックチェーン技術が既存の産業に組み込まれる可能性について、次のように語っている。

「将来、すべての公共サービスで(ブロックチェーン)技術が使われるようになるだろう。ブロックチェーンは欧州や加盟国にとって、情報システムを再考し、ユーザーの信頼と個人データ保護を推進するもので、新たなビジネス機会を創出し、リーダーシップの新たな領域の確立もする素晴らしい機会であり、市民や公共サービス、企業に恩恵をもたらす」

  リリースでは、ECが8000万ユーロ(約105億8000万円)以上をブロックチェーン関連のプロジェクトに投じたと明らかにしており、20年までにおよそ3億ユーロをブロックチェーンの開発に費やすとしている。

 また、ブロックチェーン技術の規制面についても触れ、パートナーシップが「EU法に完全に準拠し、(ブロックチェーンを)使用したサービスが欧州全体で成功するような明確な統治モデルを備えた、実現環境の創出に貢献する」と述べている。ECは3月上旬に、フィンテックとブロックチェーンの枠組みをEU全域で整備する計画を明らかにしている。

 ブロックチェーンパートナーシップ宣言に署名した参加国は以下の通り。オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ共和国、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、イギリス。EUや欧州経済圏の他の国にも参加を呼びかけている。

 2月上旬には、ECが「EUブロックチェーン・オブザーバトリー&フォーラム」を立ち上げた。ガブリエル委員いわく、「世界で最も包括的な(ブロックチェーンの)経験と専門知識が集まっている場所の1つ」という。