IPO株(新規公開株、新規上場株式)への投資は、通常の株式投資よりも利益が得られやすいことから、投資家のあいだで人気がある。

本記事では、IPO株投資のメリットや申込み方法、注意点などを解説する。


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IPOとは

IPOとは、Initial Public Offeringの略称だ。少数の株主に保有されている未上場の企業が、株式を証券取引所に上場し市場での売買が可能になることを指す。証券取引所に上場している企業の株式は、一般の投資家でも売買できるようになるため、企業は資金を調達しやすくなる。

IPO株投資とは、証券会社を通じて上場直前の株を公募価格で買う投資のことだ。IPO株を公募価格で買った投資家は、多くの場合、上場日に初値(上場初日の株価)で売却する。初値が公募価格よりも高いと利益を得られる。

IPO株は、証券会社が行う抽選に当たらなければ購入できない。抽選に当たった投資家だけが、IPO株を公募価格で購入できる仕組みだ。IPO株は、対面型の証券会社だけでなく、ネット証券でも申込みが可能だ。

ただしIPO株は、証券会社によって割り振られる株式数が決められている。そのためIPO株の抽選に申し込むためには、IPO株が割り振られた証券会社に口座を持っていなければならない。

 

IPOに参加するメリット


IPO株に投資するメリットは、以下の3点である。

  • 利益が得られやすい
  • 購入時の手数料が不要
  • 株式投資の未経験者でも参加しやすい


利益が得られやすい

IPO投資のもっとも大きなメリットは、利益が得られやすいことだ。 上場する企業というのは、一般的に業績が伸び盛りであり将来性が期待できるため、初値が高値をつけやすい。2020年は、新規上場企業93銘柄のうち69銘柄(約74%)の初値が公募価格を上回っている。2017〜2019年の3年間は、新規上場株の約9割が公募価格を上回る初値を記録した。※REITを除く

また企業によっては、初値が公募価格の2倍や3倍となるケースもある。たとえば2017年に上場した「トレードワークス」は、公募価格が2200円であったのに対し初値は1万3600円と、約6倍の値が付いている。また2020年は、93銘柄中39銘柄が公募価格の倍以上の初値を付けている。中でも「ヘッドウォータース」は、公募価格2400円に対し初値は2万8560円と10倍以上の値が付いた。 


購入時の手数料が不要

IPOは、通常の株式投資とは異なり購入時の手数料は不要だ。証券会社によってはIPO株の抽選に申し込む際の前受金(事前入金)が不要である。そのため金銭的な負担はIPO株投資のほうが通常の株式投資よりも低いといえる。

ただしIPO株を売却するときは、取引手数料を支払う必要がある。取引手数料は、証券会社によってさまざまであるため、証券口座を開設する際に確認しておこう。

 

株式投資の未経験者でも参加しやすい

IPO株投資は、多くの場合、公募価格で購入して初値で売却するだけで利益が出る。通常の株式投資とは異なり、売却するタイミングを考える機会が少ないため、投資の初心者でもチャレンジしやすい。

また証券取引所に上場するのは、基本的に今後の成長が期待できる企業であるため、通常の株式投資ほど市場や企業の分析が要らない点も初心者が参加しやすい理由だ。


公募価格はどうやって決まる?

IPO株の公募価格は、基本的に主幹事会社と新規上場の企業が決めている。ここでは、「ブックビルディング方式」での公募価格が決まる流れについて解説する。

  1. 主幹事会社による参考価格の決定
  2. 機関投資家への聞き取り調査
  3. 主幹事証券会社による仮条件の決定
  4. 仮条件を投資家に開示し需要状況を把握
  5. 投資家からの注文をもとに主幹事証券会社と上場企業が協議し公募価格を決める

まず主幹事となった証券会社が、新規上場する企業の業績や資産、将来性、すでに上場している類似企業の株価をもとに「参考価格」を決める。

その後、機関投資家への聞き取り調査を実施する。機関投資家とは、生命保険会社や損害保険会社、投資信託、信託銀行など多額の資金を運用する投資家だ。新規上場する企業の責任者は、必要に応じて機関投資家へ会社説明を実施する。

機関投資家へ聞き取り調査を実施するのは、参考価格が適正かどうか判断するためだ。主幹事会社は、公募価格が高いほど上場する企業から得られる手数料が高くなるのが一般的である。不当に参考価格が高くならないように、機関投資家からのフィードバックを得たうえで、公募価格を決める仕組みとなっている。

機関投資家からのフィードバックをもとに、主幹事会社と上場する企業は協議をし、仮条件を決定する。仮条件は「1000〜1500円」のように、下限と上限が決められるのが一般的だ。

仮条件は、主幹事会社から投資家へ開示され、注文(ブックビルディング)を受け付けて需要を把握する。投資家たちが申告した希望購入価格と注文数をもとに、主幹事会社と上場する企業が協議をして公募価格を決定する。なお人気のある企業は、仮条件の上限価格が公募価格なる傾向にある。 

 

IPOに参加する方法

IPOに参加するためには、IPOの主幹事または幹事を務める証券会社に口座を持っていなければならない。希望のIPO株に申し込める証券会社に口座をもっていない場合、口座開設の手続きが必要となる。

口座を開設したあとは、ブックビルディングに申し込む。ブックビルディングに申し込む際は、IPOの対象となる企業の「目論見書」を必ず閲覧しよう。目論見書には、IPOする企業の事業内容や業績、株主の構成など投資判断に必要な要素が記載されているためだ。

ブックビルディングに申し込む際は、仮条件の範囲内でIPO株の希望購入価格と購入株数を申告する。IPO株の抽選に参加できるのは、基本的にブックビルディングをもとに決められた公募価格×申込株式以上の買付余力がある投資家だ。

IPO株の抽選方法は、証券会社によって異なる。一人につき一票の100%抽選とする証券会社もあれば、申込口数や日頃の取引量が多いほど抽選が有利となる証券会社もある。前者は少額の個人投資家ほど有利であるのに対し、後者は運用資金が多い投資家ほど有利であるといえる。 

抽選の結果が発表され、めでたく当選していた場合は、改めてIPO株の購入手続きをする必要がある。当選しただけでは、IPO株を購入することにはならない点に注意が必要だ。補欠当選となった場合、当選した人がIPO株の購入を辞退すると、繰上抽選に参加できる。繰上抽選に当たると、IPO株を購入する権利が与えられる。


IPO投資で利益を得やすくする方法

最後に、知っておくとIPO株投資で利益を得やすくなる方法を解説する。


IPOの当選確率を上げるには

IPO株の当選確率を上げる方法は、以下の2点が考えられる。

  • 複数の証券口座を開設する
  • 主幹事である証券会社から申し込む

証券会社の口座を多く持っている投資家ほど、IPOに申し込める数が増えるため当選しやすくなる。IPO株の当選確率を上げたいのであれば、過去のIPO実績が多い証券会社を選び、できるだけ多くの証券口座を開設すると良い。

しかし、証券会社によっては、ブックビルディングへの複数参加を禁止している場合がある。そこで主幹事となる証券会社でIPOに申し込むのも方法だ。各証券会社に割り振られるIPO株のうち、約8割を主幹事会社が引き受けるといわれる。主幹事会社でIPOを申し込むと当選確率を上げられる可能性がある。


公募価格割れする銘柄の傾向

IPO株投資は、高い確率で利益が得られるとはいえ、損失が発生することもある。初値が公募価格を下回る状態を公募価格割れという。実際に2020年は93銘柄中23銘柄が公募価格割れとなった。公募価格割れが発生しやすい企業には、以下のような傾向がある。

  • 新規公開株式数が多い
  • 仮条件が参考価格に対して低めに設定されている など

新規公開株式数が多いと公募価格割れなりやすい理由は、IPO株の抽選にあたる投資家が増えるのに対し、抽選に落選して初値で購入する投資家が減るためである。

IPO株の抽選に当たった投資家は、多くの場合で初日に売却をするため、発行株数が多いほど売り注文の数は増える。一方で、多くの投資家がIPO株の抽選に当たっていると、初日に買い注文が入りにくくなるため、株価が上昇していかず初値が公募価格を下回りやすくなる。公募価格割れを防ぎたいのであれば、新規公開株式数が1000万株を超えているIPO株は、より慎重な投資判断が求められる。

また主幹事会社と新規上場する企業が決める参考価格に対して、機関投資家のフィードバックをもとに決定される仮条件が低いIPO株も注意が必要だ。参考価格に対して仮条件が低いということは、機関投資家が想定する需要見込みや新規上場する企業への評価が芳しくない可能性があるためだ。

新規公開株式数が多い企業や、仮条件が参考価格に対して低めに設定されている企業のIPO株が、必ずしも公募価格割れするとは限らない。しかし慎重に分析した結果、これらに当てはまるIPO株の初値が公募価格を上回ると確信できない場合、申し込みを見送るのが賢明といえるだろう。

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