仮想通貨(暗号資産)取引所コインチェックで8日、仮想通貨IOSTが上場した。コインチェックでは14番目の新規仮想通貨となる。IOSTの価格は過去24時間で約27%上昇しており、新しい仮想通貨に対する期待感があるようだ。

IOSTはシンガポールを拠点とするIOST財団が手掛けるブロックチェーンプロジェクトだ。IOSTのメインネットは2019年2月にスタートしており、日常で広く使われるブロックチェーンインフラとなることを目指している。IOSTでは「PoB(Proof of Believability)」と呼ぶコンセンサスアルゴリズムを採用している。これはEOSが採用しているような「DPoS(Delegated Proof of Stake)」を発展させたものだ。DPoSよりも参入障壁を低くし、より多くのコミュニティメンバーが参加できるようにしている。

また最近ブームとなっている分散型金融(DeFi)分野についても、新たなサービスやプロダクトのサポートを進める方針も打ち出している

IOSTは2017年に日本にオフィスを設立し、日本国内でのブロックチェーン開発やコミュニティづくりを進めてきている。コインテレグラフジャパンでは、IOSTに日本市場への期待感や日本における今後の活動について聞いた。

日本上場は「大きなマイルストーン」

「今回の日本での上場は、コミュニティ構築への大きなマイルストーン」と、IOSTファンデーションは指摘している。「日本は、開発者のコミュニティ、それを支える投資面からも重要な市場のひとつ」と、IOSTは話す。

特にIOSTが注目するのが、「技術イノベーションやエンターテイメント(ゲーム)」の分野だ。これまでにもIOSTでは、日本の開発企業がISOTのネットワーク上でブロックチェーンゲームを展開している。

「2019年2月のメインネット始動と同時に、日本の開発企業からブロックチェーンゲームがリリースされました。このゲームの特徴は、2018年にイーサリムプラットフォームで開発され、2019年にIOSTプラットフォームで同じ構成で、開発されました。すべてがブロックチェーンで管理された設計です」

このような取り組みがしたことで、IOSTのネットワークにおけるプロジェクトに大きな影響を与えることになったという。

「プラットフォームの比較項目、開発におけるコスト、メカニズムの限界と実用性のバランスを知ることができたと思います。これは、あとに続くプロジェクに大きな影響を与えました。まさに日本の技術的イノベーションとゲーム開発で期待された成果だと思います」

またIOSTでは、「インフラとしてのエコシステムプラットフォームと、エコシステムを支えるノード」の面で力を入れていると話す。

IOSTでは「ブロックチェーンのインフラを安定かつ安全に保つことを最重要に考えている」と強調する。「技術だけでなく、開発者や投資家、コミュニティや外部への発信内容、目にするもの、手に触れるものすべてが、健全であり信頼できる」ネットワークが重要だと指摘し、安定性・安全性を持つインフラ構築に注力しているという。

さらにブロックチェーンのエコシステムを支えるノードの「参加障壁をできるだけ下げている」点も、IOSTの特徴の1つだと説明している。

「日本からは、投資家、メディア、開発者、学生スタートアップ、そして世界でもめずらしい法律事務所がノードとして参加しています。ブロックチェーンエコシステムという、新しい技術をともなう共創社会では、規制・法律面からの協力はとても大切です」

コミュニティの充実とユーザーの取り込み

IOSTでは2017年に日本でオフィスを開設し、日本でのコミュニティづくりを続けてきた。大学や開発者を中心にコミュニティづくりを進めている。今回の日本市場での上場をきっかけに、日本でのコミュニティ構築をより加速させる考えだ。

「技術的イノベーションには、大学などでの研究と市場での理解が必要だと思います。しかし、ブロックチェーンはまだ新しい技術です。大学などでも教えるべきかどうか、検討されるなかで、IOSTは活動当初から、開発者と教育・育成を中心に活動してきました。地方でのブロックチェーン技術の理解と潜在的な開発者の育成を続け、現在まで、国内の7つの大学と専門学校、約300名の学生にブロックチェーンのワークショップを提供してきました」

また法規制については、日本の法律事務所とも提携し、プロダクト開発に必要な法規制の勉強会も開催してきた。

「開発者への活動の優先順位は、今までもそして今後も変わりません。ブロックチェーンプラットフォームの価値は、その上で創造されるプロダクトやサービスだと考えるからです。IOSTは日本で、ブロックチェーンビジネスに強い法律事務所と戦略的パートナーシップを締結し、開発者へプロダクト開発に必要な法規制の勉強会を提供してきました」

IOSTでは、今後さらに日本でのコミュニティ運営を活発化させていきたいと述べている。

IOSTの日本チームは、日本での活動当初、コミュニティのリーダーとマネージャ―を担う立場だったが、現在はリーダーのみを担っている。コミュニティ運営のマネージャー部分は、コミュニティメンバーが自律分散的に担うようになっている。今後はさらにコミュニティが主体となって活動するエコシステム構築を進めていく考えだ。

さらに今回の日本での上場で、一般のユーザーもIOSTのエコシステムに参加できるようになる。IOSTエコシステムの中にあるサービスやプロダクトに、いかに日本人ユーザーを取り込んでいくかがこれからの課題になりそうだ。