インドのナレンドラ・モディ首相は23日、ブロックチェーンについて「先端技術の機会」として支持を明らかにした。一方で、仮想通貨(暗号資産)には言及しなかった。インドでは最高裁が中央銀行の仮想通貨禁止命令に違憲判断を下すなど追い風が吹いているもの、政府の態度は以前不透明だ。

モディ首相は米印ビジネス協議会主催のインド・アイデアサミットの基調講演で、先端技術の中でも投資先としてブロックチェーンに言及した。

「テクノロジーの機会には5Gやビッグデータ分析、量子コンピュータ、ブロックチェーン、IoTといった先端技術が含まれている」

モディ首相はインドでは5億人がインターネットを利用しており、さらに5億人のポテンシャルがあると強調。このため、企業が大きな市場獲得のためにチャンスになると話した。

海外のハイテク企業から閉ざされている中国とは異なり、インドはこうした企業に向けて開放されているとし、モディ首相は過去6年間、インドは経済をより開放的で改革するために努力を続けてきたとアピールした。

モディ首相のコメントをリツイートしたインドの仮想通貨メディア「クリプト・カノーン」は今後の規制を明確にすることの重要性を強調した。

「中国は国家がサポートするブロックチェーンネットワークを世界の6つのパブリックブロックチェーンと統合している。パブリックブロックチェーンを受け入れ、対象となる産業に明確な規制を設けることが重要だ。」


仮想通貨はまだ不透明か

インドは中国と同様にブロックチェーンを推進する態度を表明しているものの、仮想通貨については警戒しているようだ。インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)は5月、仮想通貨関連サービスを顧客に提供することを禁止する法律を否定する声明を発表したことが報じられた

ただ、現在のRBIの姿勢は不明瞭なままだ。

現在インドでは国内の経済が低迷していることから、銀行もデジタル資産への対応に消極的になっている。大手商業銀行であるのHDFC銀行やインダスインド銀行など一部銀行はデジタル資産への対応を拒否し続けている。

一方でこのほど、インドのもと財務長官であるスバハッシュ・チャンドラ・ガーグ氏が仮想通貨業界幹部と仮想通貨の未来について話し合うはウェビナーが開催された。ガーグ氏は仮想通貨の禁止や仮想通貨を保有した場合の懲役期間に関する法案の起草を進めた人物だ。

ガーグ氏は仮想通貨は規制されたコモディティとして使用できるものの、インドで通貨として機能するように許可されるべきではないと主張。仮想通貨業界からも、仮想通貨はルピーの代わりとみなすべきものではないとの声が出ていた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン