1日深夜、ビットコイン市場はインドのアルン・ジェイテリィ財務相による仮想通貨規制に関する新しいコメントを嫌気し下落した。

 ジェイテリィ財務相は1日の予算演説の中で、仮想通貨を使った違法行為を取り締まると発言。この発言からインドにおける仮想通貨取引の全面的な禁止を連想する声がSNS上に広まった。

 インドはこの2年間、仮想通貨規制の整備を進めてこなかった。一方で、同国で実施された通貨改革を背景にビットコイン人気は高まり、現地仮想通貨取引所も急成長。投資熱が高まる中、インド中銀は国民に対し仮想通貨投資を控えるよう呼びかけていた。

 今回ジェイテリィ財務相は「政府は仮想通貨を法定通貨もしくはコインとして認識しておらず、これら仮想資産を使った非合法活動への資金調達を排除するためあらゆる手段を講じる」と発言。

 注意したいのは、財務相は仮想通貨自体を違法としているわけではないことだ。ところが多くのメディアはインドにおける仮想通貨取引の全面禁止も近いと解釈した。

 例えば米ニュースサイトQuartzは「アルン・ジェイテリィは、たった今インドの仮想通貨祭りを終わらせてしまった」と断定。さらに、インド政府が仮想通貨取引を違法にすると予想する弁護士の言葉を引用した。

 ツイッター上でもジェイテリィ財務相の言葉を拡大解釈するツイートが増えた。

 一方で業界内からは全く別の話が聞こえてくる。仮想通貨取引所Unocoinは政府のスタンスに「変化は無かった」と要約。

 コインテレグラフの寄稿者ジョセフ・ヤング氏も、財務相コメントを巡る誤解の連鎖を批判している。

インド財務相「ブロックチェーンは活用」

 ちなみに今回、ジェイテリィ財相は「(インド政府は)デジタル経済を実現するために、ブロックチェーン技術の利用を積極的に探究する」とも発言している。

 様々な憶測や曲解報道が飛び交う仮想通貨界では、情報を正確に読み取ることが大事だ。