国際通貨基金(IMF)の金融安定理事会は、仮想通貨の導入が進むことで、世界経済のリスクが高まる可能性があると指摘した。

国際通貨基金(IMF)は12日、「世界金融安定性報告書」の中で、新興国や発展途上国での仮想通貨やステーブルコインの導入は、マクロ経済や金融の安定性にリスクをもたらす可能性があると指摘。リスクは「今のところ抑えられている」としながらも、規制当局に対して仮想通貨を監視し、抑制するよう求めた。

IMFは、仮想通貨の拡大と進化に伴い、ステーブルコインや分散型金融(DeFi)などの「新たなリスク要因」が出現していると主張。具体的には、ハッキング、トークンの「発行と配布に関する透明性の欠如」、ボラティリティーが高まった際の取引停止などの運用リスクなどが挙げられた。また、「ミーム・トークン」や、バイナンスのような大手仮想通貨取引所が大量の取引量を処理していることや、テザーがステーブルコインの供給の大半を担っていることなどの中央集権化も考慮すべき要素だとした。

「これまでのところ、このようなリスクは、世界的にも国内的にも、金融安定性に大きな影響を与えていない。しかし、仮想通貨の成長に伴い、このようなリスクのマクロ的な重要性は高まっていく」

発展途上国がデジタル資産を採用するリスクを強調することは、IMFはこれまでも繰り返してきている。IMFは、マーシャル諸島とエルサルバドルに対し、デジタル通貨を法定通貨として認めることは、「マクロ経済と金融の安定、および金融の健全性に対するリスクを高める」と警告している。