国際通貨基金(IMF)は、ビットコインを法定通貨として採用した場合、「悲惨な結果になる可能性がある」と警告している。

IMFマーケティング部の財務カウンセラー兼ディレクターのトビアス・エイドリアン氏と法務部のゼネラル・カウンセル兼ディレクターのローダ・ウィークス・ブラウン氏によると、ビットコイン(BTC)のような仮想通貨は、インフレ率や為替レートが安定していない国では流行り、銀行口座を持たない人々に決済手段を提供することができるかもしれないと指摘。しかし、経済に与えるコストは大きくなると主張した。

IMFの2人は、「仮想通貨に法定通貨の地位を与える」ことで、国内に経済が非常に不安定になったり、マネーロンダリング対策やテロ資金対策に反して資産が利用されたりするリスクがあるほか、マクロ経済の安定性や環境にも問題があると主張している。

エイドリアン氏とウィークス・ブラウン氏は次のように述べる。

「商品やサービスの価格が現実の通貨と仮想通貨の両方で設定された場合、家計や企業は、生産的な活動に従事するのではなく、どのお金を保有するかを選択するのに多大な時間と資源を費やすことになる。支出のほとんどが現地通貨であるにもかかわらず、税金が事前に仮想通貨で見積もられている場合、あるいはその逆の場合、政府の収入は為替リスクにさらされることになる」

彼らはまた、金融政策全般が「噛み合わなくなる」と主張し、仮想通貨の普及がビットコインや他のトークンなどの資産を採用している国の信頼性を低下させると示唆し、「仮想通貨価格の大きなボラティリティ」を問題視。ビットコインの価格は、今年に入ってからすでに65,000ドルと30,000ドルの間で推移している。

IMFのブログでは、9月からビットコインの法定通貨としての受け入れを開始する予定のエルサルバドルについては特に言及していないが、エイドリアン氏とウィークス・ブラウン氏は、仮想通貨を法定通貨とすることは、包括的な金融サービスへの「望ましくない近道」であると述べている。