ブロックチェーン分析企業のEllipticは、仮想通貨の不正使用に関する最近のトレンドに大きな変化があったと指摘している。
12月9日に発表されたEllipticの調査によると、犯罪関連とみられるビットコイン(BTC)のトランザクションの割合は、2012年をピークにしてはるかに低いレベルとなっている。
Ellipticのチーフサイエンティストであるトム・ロビンソン氏は、これは仮想通貨の多くのトレンドの結果であるとコインテレグラフに説明している。たとえば、仮想通貨取引所でのコンプライアンスや法執行活動の強化、またEllipticのような分析企業のプレゼンスが高まったことなどが、こういったトレンドだという。またロビンソン氏は、一般的な利用が単純に増加した面もあると指摘する。
「ほかの仮想通貨のユースケースが爆発的に高まっている。最も注目すべきものは投機だ。仮想通貨の大部分は取引所間でやり取りされている。これらのトランザクションは犯罪に関連するものを小さくしている」
それでも、悪意のあるアクターは、仮想通貨を介して利益を得るための新しい方法を見つけているという。Ellipticは、仮想通貨ミキシングサービスの利用がわずかに増加したほか、プライバシーウォレットの利用が大幅に増加したと指摘している。
仮想通貨事業者に対する法的圧力の増加は、仮想通貨ミキサーへの依存する割合を変えてきた可能性がある。またEllipticのような分析企業などが、ミキサーを介したコインを追跡する能力が向上した可能性もある。
本人確認(KYC)の要件が世界的に高まっており、取引所が違法な仮想通貨の送り先となるケースは減っているようだ。しかし、プライバシーウォレットの利用は急上昇している。
Ellipticのデビッド・カーライル氏は、以下のように述べている。
「私たちが観察した最も重要なトレンドは、ロンダリングプロセスでWasabiウォレットなどのプライバシーウォレットの利用が増加していることだ。2020年には、犯罪収益関連のビットコインの少なくとも13%がプライバシーウォレットを介して送られた。これは2019年にはわずか2%だった」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン