【新年寄稿】世界最大級取引所 Huobi創業者が2019年の仮想通貨を語る「デジタル資産市場は成熟化へ」【コインテレグラフ日本版独占】

中国発の仮想通貨取引所Huobi(日本語ではフォビ、フオビ等と表記)。2017年9月に中国政府が発表した「94文書(9月4日に発布された令の意)」で仮想通貨取引やICOが同国で禁止されても成長を続け、中国大陸の仮想通貨業界に君臨し続ける取引所だ。そんな取引所を2013年に創業した大ボス・李林(リーリン)CEOが、2019年の仮想通貨・ブロックチェーン業界の展望についてコインテレグラフ日本版に寄稿してくれた。中国の最高学府清華大学卒のエリートである李氏が注目するポイントは「市場の成熟化」、「社会実装」、そして「規制の拡充」だ。Huobiは仮想通貨業界の中でも規制当局との関係維持には長けているほうで、北京を本拠地に営業を続ける他、昨年は日本の交換業「ビットトレード」を傘下に収めとうとう日本進出を決定づけるなど規制との兼ね合いを強く意識した動きを続けている。今年36才となる李CEOは2019年をどう展望しているのだろうか。北京からコインテレグラフ日本版に語った。

弱気相場でも仮想通貨・デジタル資産業界は成長し続けている

この1年、仮想通貨の世界で最も注目を集めた話題は強気で始まり、今は弱気一色になっている相場だったことに間違いない。そこに注目が集まるのは理解できる。現在の相場はHuobiを含む多くの業界関係者たちにとって難しい状況にある。一方で、昨年(2018年)進んだ仮想通貨とブロックチェーン分野における長期トレンドは、成熟と洗練の過程だった。

かつては仮想通貨でしてよいことや、してはいけないことについて、ほんのわずかなルールがあるだけだった。だから仮想通貨市場はアメリカの西部開拓時代に少し似ており、チャンスに満ち、巨大な富を築ける可能性があるものだった。一方でリスクと危険にあふれ、うまく行かなかった時の保護手段(セーフガード)は、あったとしてもほんのわずかしかなかった。実際、悪徳な取引所や十分な安全措置が取られていないずさんな取引所でトークン(仮想通貨)を取引すると、財産を失うことになるだろう。

仮想通貨取引とブロックチェーン技術は今過渡期にあり、徐々に既存のグローバル金融システムの中に組み込まれようとしている。伝統的な金融市場の機関投資家やプロの投資家たちが仮想通貨に興味を示し始めているのが一例だ。

2018年末だけをみても、Huobiでも仮想通貨先物取引サービス「フォビ デリバティブ市場(フォビDM)」を立ち上げたり、APIと高頻度取引に最適化された旗艦取引所プラットフォーム「フオビ グローバル」に対しサービスパッケージのリリースを実施し成功を収めた。仮想通貨への機関投資家の関与は始まったばかりで、この先まだまだ長い道のりが控えていると思うが、この種のことはほんの2~3年前には想像もできなかっただろう。

昨年は規制当局や規制が仮想通貨業界の一部になっていった。規制当局はブロックチェーンとデジタル資産だけでなく、より規制しやすいプロダクトやサービスに強い関心を持っている。そんな中Huobiでも包括的なステーブルコインのソリューションHUSDを立ち上げた。ユーザーに対し、ステーブルコインに関する最大の選択肢を与えるためだ。HUSDは、全て規制対象のデジタル資産であるジェミニドル(GUSD)、パクソススタンダード(PAX)、トゥルードル(TUSD)、およびUSDコイン(USDC)から構成されている。それら4つのコインの中で、今年が始まる前にすでに存在していたのはUSDコインたった1つだけである。

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現在多くの人たちが弱気相場に注目しているのも無理はないと思うが、2018年には別のストーリーも展開していたのだと私は考えている。それは、デジタル資産取引の成長だ。

全く新しく破壊的なものが生まれて間もない頃というのは、エキサイティングな時期である。しかし忘れてはならないのは、デジタル資産(や関連業界)が少人数の熱烈なファンだけが追いかけるニッチなプロダクトの段階を超えて成長すればするほど、社会全体により大きな影響を及ぼすようになり、世界的な富を解放するその潜在能力を発揮できる可能性が高まるということだ。

2019年以降、仮想通貨とブロックチェーンは社会実装が進む

2019年以降の仮想通貨の未来は、規制と規制対象プロダクトがより大きな役割を果たすようになり、機関投資家やプロのトレーダーたちの関与が増え、世界的な金融システムへの統合がさらに進むだろう。また、ブロックチェーン技術は拡大を続け、純粋な仮想通貨だけではなく、政府、金融、観光、サプライチェーン管理などの分野で「現実世界」へ広がっていくと考える。

ブロックチェーンが人類の抱えるあらゆる問題にとって奇跡の治療薬になると言っているのではない。しかしながら、必ずしも互いに信用していない、あるいは信用できない複数の当事者たちが、一連の共通データを共有する必要がある状況に対しては、ブロックチェーンが何らかの優れた解決策になる可能性がある。要するに、ブロックチェーンは基本的に、多数の当事者の間で分散され、正確性と透明性を強化するために暗号化技術を利用する、共有デジタル台帳なのである。

比較的最近、私の目を引いた現実世界におけるブロックチェーンの事例は、スペインのBBVA銀行の例だ。同銀行は2018年4月、ブロックチェーンをベースとした初めての9000万ドルの企業融資を完了させた。一般的にこの種の銀行融資では、同じ契約書の複数のバージョンをたくさん作成し、さまざまな当事者間でやり取りする必要があり、とても非効率な面が多々ある。しかしBBVAの専用ブロックチェーン プラットフォーム上で融資契約を作成することにより、貸し手も借り手も作業を大幅に簡素化することができた。

ビジネスの世界以外でもブロックチェーンの応用事例はたくさん存在する。例えば、選挙の実施と検証にブロックチェーンを利用する方法については、多くの政府が実験を行っている。その一例としてつい2018年11月に、アメリカのウエストバージニア州が、連邦選挙の投票に使えるブロックチェーンベースのアプリを導入している。

スケーラビリティ(拡張性)や(異なったブロックチェーン間の)相互運用性など、解決しなければならない問題はまだあるものの、2019年には現実世界でより多くのブロックチェーンに関する使用事例が生まれることになると考える。事実、今後数年のうちにブロックチェーンが日常生活と密接に結びつき、ほとんどの人々がほぼ毎日、