G20声明文 仮想通貨関連箇所を読み解く 金融庁、利用者保護での前進を高評価 ビットコイン価格の上昇を注視

G20財務相・中央銀行総裁会議が9日に出した共同声明について金融庁は、日本が主導して仮想通貨(暗号資産)の利用者保護の部分に対して「世界初」となる画期的な前進があったと高く評価した。また、仮想通貨は「現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていない」と前回から表現を据え置いた点について、金融庁はビットコインが上がり続けていくと「意識が変わるかもしれない」と話した。

今回の声明文は大きく分けて「総論+金融システム安定」、「マネロン対策」、「利用者保護」、「分散型技術」と4つに分けることができる。

「総論+金融システム安定への評価」

最初の4行は、前回の声明文と比べて文言の順番の入れ替えなどがあったものの、変更はなし。引き続き仮想通貨を含む技術革新について「金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る」とポジティブに評価。一方、現時点におけるグローバル金融システムの安定については「脅威をもたらしていないが(中略)リスクに引き続き警戒を続ける」と表現を据え置いた。

金融庁によると、この箇所の表現に関して「参加国から異論はなかった」。G20に依頼されて金融安定理事会(FSB)が定期的に暗号資産の金融システムに与える影響の評価をしており、現時点で脅威を与えていないというのが共通認識に対して「文句を言う人はいなかった」。

ただ、金融庁は最近ビットコインの価格が上がっていることに言及し、「このまま上がり続けていくと意識が変わるかもしれない」と指摘。だから「引き続き警戒を続ける」という文言を使っていると解説した。

「マネロン対策」

既報の通り、今回のG20でマネロンに関する新たな発表はなかった。やはり今月に発表される予定の金融活動作業部会(FATF)のガイダンスが注目されることになる。

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金融庁によると、FATFの本会合が今月21日に開催され、そこで「解釈ノート及びガイダンス」の採択が予定されている。今回のG20は、「あらかじめそれを応援する」という姿勢を示した。「解釈ノート」とは「FATFの世界でいうと強制力を持ったもの」で「具体的にどう適用するか」基準を定めるものだ。

日本は世界に先駆けて仮想通貨取引所を登録制にした。当時G20レベルの会合ではマネロン対策に関して「FATFからガイダンスが出たものの義務ではなかった」。ただマネロン対策は他の国が協調して実行しないと意味がないため、今回、日本はもちろんフランスやドイツもはっきりとその重要性を指摘。少なくともマネロン対策の部分に関して仮想通貨関連業者は「登録か免許制にしなければならないことが確定した」(金融庁)。

「利用者保護」

一方、今後の懸案となるのが利用者保護の箇所だ。

まず「我々は、消費者及び投資家保護や市場の健全性に関し、暗号資産取引プラットフォームについてのIOSCOの報告書を歓迎する」と言う箇所について金融庁は、「消費者保護の面からも規制をかけなさいという訳ではない」と解説。日本はこの規制をかけたわけだが、「インドや中国、ロシア、インドネシアのように禁止したければ禁止すれば良い」という国もあるし「自己責任だ」と突き放す国もある。各国に温度差があるわけだが、今後規制していきたいということであればIOSCOの報告書が「手引きになる」ということを示した。

既報の通り、金融庁は証券監督者国際機構(IOSCO)の報告書の作成にも関わっており、「我々の経験を踏まえた要素についてG20で共通認識が深まることを期待している」と述べていた。今回、金融庁はIOSCOの手引きがG20の声明文に入ったことについて「かなり画期的」であり「世界初の試み」と高く評価している。

具体的には、資金決済法等の一部改正法の内容である「顧客資産喪失時の弁済原資を確保する枠組みや、取り扱う暗号資産いついての追跡可能性等の評価など」が盛り込まれている。 

次にFSBの「潜在的なギャップに関する報告書」は、ビットコインやイーサリアムに対する各国の規制当局の温度差を指摘している。

有価証券に当たる暗号資産に対する規制のあり方ははっきりしているが、ビットコインやイーサリアムなど有価証券に当たらない暗号資産に関しては利用者保護や市場の健全性からの観点では「国際基準がない」。ギャップはあるもののどのように対応するか意見が分かれていることを指摘したFSBの報告書を今回のG20で歓迎し、さらに「FSBと基準設定主体に対して、リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討すること」を要請した。

「分散型技術」

上記3つが仮想通貨に関する声明で、最後はより広い技術革新という意味での分散型技術に関する声明が出された。利用者同士が結びつき仲介者がいないような金融取引については「まだ雲をつかむような話」というのが現状で、今回のG20では今後、この技術が進んで言ったらどうなるかという議論がなされた。

金融安定理事会(FSB)はG20直前開幕直前の6日、分散型金融に関する最新レポートを公表し、既存の金融システムの安定性に対する恩恵とリスクについて解説した。

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