今月16日、世界最大の資産運用会社ブラックロックが、ビットコイン(BTC)を評価するためのワーキンググループを組織したとフィナンシャルニュースが伝えた

 同社がビットコインETF(上場投資信託)を販売するとの推測も広がっており、仮想通貨市場は急伸。BTCは18日には、およそ1カ月ぶりに7000ドルを突破した。

 ビットコインETFの上場が実現すれば、ビットコインを株式と同じように取引できるようになると考えられ、機関投資家が市場に参入する選択肢が増える。

 米証券取引委員会(SEC)は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が8日にビットコインETFの上場申請したのを受け、来月10日、遅くても9月24日までには承認の可否を判断すると述べている

 ファム社CEOで、トレード教育を手がける佐々木 徹氏は21日、東京・文京区で開催されたHashHubカンファレンス2018に登壇し、仮想通貨ETFが市場に与えるインパクトについて解説した。

ETF開始でビットコインは5万9000ドルに?

 佐々木氏は、ビットコインと性質が近いゴールドのETFを例にとり説明した。世界最大のゴールドETFであるSPDRゴールド・シェアがニューヨーク証券取引所に上場した2004年11月、ゴールドの価格はおよそ450ドルだったが、7年後には1900ドルに上昇した。比較的安定したアセットであるゴールドが、ETFの影響で7年間で価格がおよそ4倍になったことを考えると、「ビットコインであれば、7年ではなく7カ月くらいというのも十分範疇に入るくらいのインパクトはある」という。また、ETFで買われたゴールドの保有量と価格には正の相関関係があると指摘し、ビットコインもETFで現物が買われれば、価格が上がっていくとの予測を示した。

 ビットコインの時価総額は現在およそ1300億ドル(約14兆5000億円)。佐々木氏は、ここに機関投資家の受け皿となるブラックロック(運用額6.3兆ドル=約702兆1000億円)を含む大手運用会社計7社(バンガード・グループ、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、フィデリティ・インベツトメンツ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、JPモルガン、ゴールドマン・サックス)の運用総額22兆ドルのうち、1%に当たる2200億ドルがビットコイン市場に流れれば、ビットコインは現在の7000ドルから1万9000ドルに上昇し、市場規模は3500億ドルに拡大すると説明した。続けて、73兆ドルの株式市場から、ETF経由で1%の取引額がビットコイン市場に流入する場合も解説。ビットコイン市場は1兆800億ドルに拡大し、BTCは1万9000ドルから5万9000ドルに上昇すると概算した。

現在のBTCはマウントゴックス事件後と同水準の売り込まれ状況

 佐々木氏は、ビットコインの価値をハッシュパワーと利用者数を掛けて算出した場合、現在の価格(21日時点で約7400ドル)は計算上の価値より4500ドルほど低くついており、ビットコインは、その分上昇の余地があると述べた。

オレンジ色がハッシュパワーと利用者数を掛けて算出したビットコインの価格、青色が実際の価格

 現在、税制やICO規制など法規制が改正されている時期であり、マーケットは傾向として、この時期を抜けるまでは価格乖離が起きるという。現在の売られ過ぎている状況は、マウントゴックス事件後と同程度である。今後の見通しについては、以下のように見解を述べた。

「ここまでマーケットが傷んでしまうと、すぐには戻ることは当面考えづらい。おそらく年末くらいまでは横ばいでいくと思うが、ETFが通ると話は変わる」