仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のジャオ・チャンポン(通称CZ)CEOがサウス・チャイナ・モーニング・ポストのインタビューに答えて、バイナンス躍進の背景にあるのは「中国以外で拡大を目指す戦略」だと解説した。取引高世界一であり、今年第1四半期の利益がナスダックに肉薄したバイナンスのCEOが規制に対するスタンスを明らかにした他、弱気相場の影響で自身の資産にどれほど影響が出たかの予想もした。

CZによると、ライバルの仮想通貨取引所から一歩抜け出したきっかけは、去年9月に中国が仮想通貨取引所の取り締まりを強化したことだ。中国が規制強化をした直後、バイナンスの本社機能とサーバーを東京に移し、その後、台湾やシンガポールなど他の市場に展開していったという。

その後、CZによる中国以外での拡大戦略は加速。先月だけでもスイスや韓国を含む8カ国に渡航し、人材の確保やイベント出席、ディールなどに勤しんだという。ちなみに中国本土には規制強化以来戻っていないそうだ。今後2、3ヶ月のうちにウガンダやマルタ、ジャージー島、リヒテンシュタイン、シンガポールなどで法定通貨と仮想通貨の両替が可能な仮想通貨取引所を立ち上げる計画。中国以外のほぼ全ての大陸でトレーディングできるようにする計画だという。

またCZは、「ブロックチェーンにイエスと答えて、仮想通貨にノーと言うのは不可能」という見解も明かしたそうだ。

「銀行は支持するけど、人民元は支持しないと言っている様なものだよ」

中国政府はブロックチェーンに対して寛容な政策を進める一方、仮想通貨に関しては依然厳しい姿勢を貫いている。CZは、どんなに市場規模が小さくても規制当局がフレンドリーであれば協力すると発言。「我々は極めて受け身であって、だいたい政府に招待される」と話したという。

バイナンスは、今年3月に金融庁からライセンスを持たないまま業務を行っているとして警告を受けた。また9月にはNY州の規制に違反している可能性があるとNY州の規制当局から警告も受けていた

バイナンスの成長は著しく、今年の第1四半期の利益は2億ドル。ただ弱気相場の影響で第2四半期は1億5000万ドルだったという。またCZは、99%を仮想通貨で保有していると言う自己資産について、2月の20億ドル(約2280億円)から現在は10億ドルほどに半減していると予想したという。