米司法省の管轄下で活動していた捜査官が、ダークネットで仮想通貨ディーラーを装い35人以上の犯罪者を逮捕した。司法省が26日に公表した。また、犯罪行為で得られた2360万ドル以上が押収された。

 捜査ではビットコイン(BTC)のマイニングマシンや、2000BTCを含む仮想通貨(総額約2000万ドル)、オピオイドやザナックス、MDA、LSDなどの薬物、それに360万ドル相当の法定通貨や金の延べ棒も押収された。

 司法省の発表では、国土安全保障省捜査局(HIS)のニューヨーク支局の特別捜査官が、ニューヨーク州南地区連邦検事局とともに1年に及ぶ潜入捜査を行い、ダークネットで法定通貨を仮想通貨に資金洗浄しようとするトレーダーのふりをしていたという。

 この捜査は90件の事案につながったが、国土安全保障省の移民・関税執行局や捜査局、シークレットサービス、郵便監察局、麻薬取締局(DEA)との協力で実施された。

 HSIのデレク・ベナー副局長代行は今回の発表において、「ダークネットはたえず変化し、ますます複雑化しており、このプラットフォームで違法なものを扱う売人の特定がさらに難しくなっている」と語っている。

「覆いは取り除かれた。HSIはダークネットに潜入し、全国の法執行機関とともに、すべての犯罪者が法の手の届くところにいることを再度示した」

 ニュースメディアのマザーボードは、司法省が起訴した被告の1人であるニコラス・J・パウエル被告に対する刑事告発を引用している。捜査官が彼の協力を得て顧客の調査を始め、彼のオンラインアカウントを乗っ取り、ダークネットでビットコインを使用していた薬物の売人を突き止めた様子を報じている。

 カリフォルニア大学バークレー校の国際コンピューター・サイエンス・センターの上級研究員であるニコラス・ウィーバー氏はマザーボードに対し、「ビットコインの資金洗浄を行う人物のふりをするのは、密売人を見つけるのに優れた方法だと思う。ダークネットの密売人が薬物を入手するルートはたくさんあるが、現金が得られるルートはかなり限られる」と語っている。

「売人を突き止めれば、売人が支援している薬物ディーラーを見つけたり〔中略〕、彼らがやったように、売人のふりをすることが容易になる」

 米シークレットサービスのケネス・ジェンキンス次官は、「引き続きこれらのサイバー犯罪者に対応し、阻止率の維持に努めていく」と述べた。〔編集者注:米シークレットサービスは、大統領警護以外にも偽造通貨やコンピューター犯罪の捜査も行っている〕。

 同じく26日、司法省はダークネットにおける薬物販売の疑いで、2人の男から1700万ドル分のビットコインを含む仮想通貨を押収したと発表した

 司法省はまた、仮想通貨関連の活動をさらに広げており、5月末にはビットコインやイーサリアム(ETH)の価格操作に関する捜査を開始している