米投資銀行のゴールドマン・サックスは、7月のレポート中で、今年のマーケット展望を狂わせる6つの要因の1つとして、ビットコイン(BTC)と「不安定な仮想通貨マニア」を上げた。まだ規模は小さいながらも、既存の金融市場に対して仮想通貨が影響力を持つ可能性を認めた形だ。
今年1月に出したゴールドマン・サックスのマーケット展望を狂わせる要因として、テロやポピュリズムの台頭、地政学的な緊張感の高まり、サイバー攻撃、内政要因と並んであげられたのが、「ビットコインと仮想通貨マニア」だ。「ビットコインと仮想通貨マニア」について詳細な記述はなかったものの、年初と比べてゴールドマン・サックスの仮想通貨に対する見方が変わってきていることを示唆しているかもしれない。
また、先週の報道にもあったように、7月のレポートは「仮想通貨相場は今後さらに下落する」という見方を確認した。ゴールドマンサックスは、「仮想通貨は通貨の伝統的な役割を3つともを果たしていないため、今後も下落する。仮想通貨は、交換手段でもないし、価値の尺度にもならないし、価値の貯蔵手段でもない」とみている。
ただ同時に、仮想通貨は世界のGDPの0.3%にすぎないことから、仮想通貨市場の暴落が金融市場全体に大きな悪影響を与えることはないという見方を示した。
Bitcoin and Ether Price Indexes. Source: Goldman Sachs Investment Strategy Group
1月のレポートでは、ビットコインが「バブルの領域に入った」ことなどを理由に、仮想通貨マニアは「投資家の不安を煽る要因」としてリストアップ。当時はたとえビットコイン価格が2倍・3倍になったとしても、「長期的に価値を持ち続けるとは思わない」と主張していた。
仮想通貨市場に対する厳しい見方を維持する一方、ゴールドマン・サックスは先月、仮想通貨に好意的と見られるデービッド・ソロモン最高執行責任者(COO)を新たなCEOに指名したと発表。6月には仮想通貨は「詐欺ではない」とし、トレーディング業務を始める方針を示していた。