GMOインターネットは12日、2018年12月期決算を発表した。昨年12月末に公表した仮想通貨マイニング事業関連での353億円の特別損失により、純利益は207億円の赤字となった。GMOインターネットの熊谷正寿社長は同日開催した決算説明会で、自社マイニングを継続する方針を改めて示し、電気代が半分以下となる新拠点への移転を夏前までに完了させることを明らかにした。

仮想通貨事業の収益状況は、売上高は前の期比8.6倍の82億4600万円と大幅な増収となった。一方で営業利益は13億6200万円の赤字となった(前の期は2億300万円の黒字)。傘下のGMOコインが手掛ける仮想通貨交換事業は黒字となったものの、マイニング事業での赤字が響いた形だ。

仮想通貨マイニング事業は「想定を上回るハッシュレートの上昇とビットコイン価格の下落」が影響したことに加え、マイニングマシン高騰時に装置を購入したことが収益を圧迫した。

マイニングは新拠点に移転中  「電気代は半分に」

GMOは、昨年末に発表した通り、仮想通貨マイニングマシンの製造・販売事業からは完全に撤退し、自社マイニングに専念する方針だ。昨年末にマイニングマシンの減損処理を行ったことで、19年以降はマイニング事業の収益性が改善する見込みとしている。

収益改善に向け、マイニングセンターの移転も実施中だ。これまでGMOは北欧2か所でマイニングセンターを展開していたが、熊谷氏は、北欧よりも「電気代が半分以下になる」新拠点への移転作業を進めていることを明らかにした。具体的な場所は「企業秘密」としているが、現在マイニングマシンの移転作業を進めており、今年夏以降には収益に反映できるとの見通しを示した

「現時点で1か国の拠点は完全に閉鎖し、別の場所に移転中だ。北欧よりも電気代は半分以下になる見通し。新しい場所への移転は徐々に行っており、数字に現れるのは夏以降になると考えている」(熊谷氏)

夏前までにはすべてのマイニングマシンを新しい拠点に移転させる。マイニングマシンの減損処理は昨年末に行っており、自社マイニング事業の主なコストは電気代のみになる。電気代が半分以下になることで、「現在のビットコイン価格でも利益を出せる体制になる」(熊谷氏)とみている。

またGMOが仮想通貨の決済分野で検討している、円とペッグしたステーブルコイン「GYEN」については、19年12月期中に海外で実施する計画だ。海外法人の準備や担当者のアサインなど、発行に向けた準備は「順調に進んでいる」(熊谷氏)状況だという。

熊谷氏「失敗から学び、必ず取り戻す」

熊谷氏は決算説明会の最後に「昨年度はマイニングに関する減損を出し、投資家のみなさんにご迷惑をお掛けした」と謝罪した上で、「既存事業は盤石。昨年度の失敗を学びに変え、今年度はさらに成長させる」と強調した。

「10数年前にも大失敗をしたことがあった」と熊谷氏は振り返った。05年に行った消費者金融のオリエント信販の買収だ。買収後、06年にグレーゾーン金利のルール変更によって、約400億円の損失を出した。

熊谷氏は「今回も当時と同じくらいの損失を出したが、今回は事業そのものは丸々残っている」と述べ、マイニング事業での損失を取り戻すと意気込んだ。

「マイニング事業はコストが半分以下のところに移転する。また製造したマシンの一部は自社で稼働させる予定だ。まだ勝負は終わっていないというのが私の考えだ

「仮想通貨が無くならない限り、マイニングも無くならない。最も有利な形でマイニング事業を継続する。一時的な失敗であり、必ず取り戻す