GMOインターネットは25日、同社が仮想通貨マイニング装置の開発・製造・販売から撤退することを発表した。自社によるマイニング事業は継続する。今回の事業撤退に伴い、連結ベースで約355億円の特別損失を計上する。

特別損失の内訳は、自社マイニング事業の減損損失が約115億円、マイニング装置の開発・製造・販売事業については債権譲渡損などが約240億円としている。

自社マイニングは継続する方針

自社マイニングについては、「足元の仮想通貨価格の下落、想定を上回るグローバルハッシュレートの上昇により想定通りのマイニングシェアが得られなかったこと」で収益性が悪化した。こうした状況で事業用資産の簿価を全額回収することは困難と判断し、減損損失を計上した。

2018年7~9月期の仮想通貨マイニング事業は12.3億円の売上に対し、6.4億円の営業赤字だった(4~6月期は3.6億円の赤字)。赤字幅拡大の要因は、マイニング装置の償却負担が増加したためだった。

自社マイニングについては、継続していく方針。今回の減損損失の計上で、減価償却費は減少する見込みだ。今後はより電気代の安い場所へ移転し、収益性の改善を目指す。またマイニング事業を担っていたスイス法人は撤退。スイス法人撤退後は、GMOインターネットが自社マイニング事業を統括する。

マイニング装置の販売からは撤退

マイニング装置の開発・製造・販売の事業からは撤退する。

GMOインターネットはプレスリリースの中で、今回の撤退について次のように説明している。

「マイニングマシン市場は、足元の仮想通貨価格の下落を受けた需要の減少、販売価格の下落により競争環境の厳しさが増しております。こうした事業環境の変化を踏まえ、当該事業に関連する資産を外部販売により回収することは困難と判断し、開発・製造・販売を中止することにより、特別損失を計上することとなりました

マイニング装置の開発・製造については、上記の事業環境の変化に加え、電子部品の調達でも困難に直面していた。11月の決算説明会でも「抵抗」や「コンデンサ」といった部材の調達が難航しており、自社開発のマイニング装置「GMO miner」の出荷を延期していた。

交換業や決済分野は取り組み継続

GMOは25日、今回の特別損失についてアナリスト向けの電話会議を開催。その中で、仮想通貨交換業については「順調に収益貢献しており、継続していく」とし、またステーブルコイン「GYEN」など決済分野での取り組みも進めていく考えを示した。

「こういった事業(交換業や決済分野)と、銀行・証券とのシナジーを進めていき、今後も成長のドライバーとしていきたい」