GMOフィナンシャルホールディングスは2月5日、2018年12月期決算の説明会を開いた。子会社の仮想通貨交換業者GMOコインの業績は好調に推移し、18年12月期で営業利益は7億2300万円の黒字となった。また今回の決算説明会では中期の経営目標を示し、今後仮想通貨事業で国内シェアを「3~4倍」に拡大する考えも明らかにした。

18年12月期のGMOコインによる仮想通貨事業の営業収益は40億3600万円となった。17年12月期については8億5700万円だった(17年9月22日から連結子会社化しており、17年10~12月期の数字)。営業利益は7憶2300万円となった(17年10~12月期は4億8000万円)。

17年末から18年はじめにかけてビットコインの乱高下した影響で、18年第1四半期は収益が赤字となったものの、18年2月以降は安定的に業績が推移。GMOフィナンシャルHDによれば、カバーロジックの見直しにより、安定的に収益が出る体制を構築できた。

また積極的なプロモーションで口座開設数も順調に推移。昨年12月時点では22万5000口座にまで拡大した(18年1月時点では7.1万口座)。

GMOコインは1月30日、取引所サービスでアルトコインを追加。また昨年11月にはGMOあおぞらネット銀行との間で即時入金サービスで連携するなど、サービス面での利便性充実も貢献したとみられる。

GMOフィナンシャルホールディングス 2018年12月期決算説明資料より

仮想通貨事業 シェアを「3~4倍に」

今回の決算説明会では、GMOフィナンシャルHDとして中期の経営目標を初めて示した。2021年12月期に営業利益目標200億円というものだ。

鬼頭弘泰CEOは、200億円の営業利益の内訳について、FX、CFD(差金決済取引)と外為オプションの3つが大きくなるとの見通しを示したが、仮想通貨についても国内でのシェア拡大を進め、収益基盤を強化する考えだ。

GMOフィナンシャルホールディングス 2018年12月期決算説明資料より

ただこの中期の営業利益目標では、仮想通貨については保守的な見方を崩さない前提だ。

「仮想通貨についてはレバレッジ取引規制が設けられることが決定しているので、ここについては強気で考えず、コンサバ(保守的)に捉えている」(鬼頭氏)

保守的な見方を前提に、GMOコインの国内でのシェア拡大を目指す。GMOフィナンシャルHD自身の推定によれば、GMOコインの仮想通貨取引高の国内シェアは「月によって振れ幅は大きいが、現状は5%程度。高い月はそれ以上と認識している」という。圧倒的にシェアを持つのはビットフライヤーであり、「80%後半のシェアを持っている」と分析する。GMOコインの立ち位置はトップのビットフライヤーに次いで「2番手か3番手」に位置しているとみる

鬼頭氏は、現状5%程度のシェアを「近い将来に3~4倍」に拡大するのが当面の目標だと語る。

鬼頭氏は、GMOがFX事業においてシェアを拡大したノウハウを投入していくと語った。サービスの利便性と価格面での競争力の向上に注力し、サービス改善をさらにスピードアップさせていく考えだ。鬼頭氏は「将来的には一番を取りたい」と意欲を見せた。

海外展開については「基本的考え方であり、今はまさしく検討段階」と述べ、具体的な地域や時期については明言しなかった。

鬼頭氏は、海外展開を検討する背景として、日本円ベースでの仮想通貨取引高の変化を指摘する。

「2017年後半は国内の取引が非常に活発だった。世界のマーケットの半分は占めており、国内だけでも十分に収益が取れる状況だった」とし、「最近はドル建てベースが非常に活発。円建ての取引シェアは下がっている」と語る。将来的に仮想通貨による収益基盤を確かなものにするため、海外展開へのチャンスを伺う。