GMOフィナンシャルホールディングスの鬼頭弘泰社長は、26日の決算説明会で、仮想通貨事業について「完全に収益を出せる体制になった」と語った。また24日からスタートした日本仮想通貨交換業協会による自主規制に触れ、証拠金倍率の上限規制について「4倍であれば大きなダメージはないが、2倍となると収益への影響は大きい」との認識を示した。

GMOフィナンシャルHDは25日に発表した2018年1~9月期決算の説明会を開催。傘下のGMOコインが手掛ける仮想通貨交換業は、2018年7~9月期の売上高は4~6月比5%減の13.6億円、営業利益は4~6月期比48%増の7.4億円だった。

「売買代金は減少傾向で推移しているが、口座数は伸長。カバーロジックの見直し等の各種施策の実施により収益は安定的に推移」した。

口座開設数は6月末の16.9万口座から、9月末で19.7万口座に増えた。プロモーションの効果のほか、他社の口座開設が停止していたことも影響したという。

鬼頭社長は仮想通貨事業が「グループの収益に貢献できるようになった」と語る。

9月5日からは取引所サービスを開始し、ビジネスを展開する上での「武器はそろった」(鬼頭氏)。今後は顧客基盤拡大に向け、テレビCMなどのプロモーション強化に乗り出す考えだ。

 

自主規制対応「急ピッチで」

今月24日、金融庁は日本仮想通貨交換業協会を資金決済に基づく自主規制団体として認定。同協会による自主規制がスタートした。

鬼頭社長は、システムリスク管理態勢やマネーロンダリング対策、カバナンスなどのを「より強化していくことが求められる」とし、「急ピッチで対応を進めていく必要がある」と語った。

また自主規制では、レバレッジ取引の証拠金倍率について、1年の暫定措置を設けた上で上限4倍に統一するとしている。

GMOコインの仮想通貨事業においては、FXによる収益が「大半」(鬼頭氏)だ。自主規制の影響について、鬼頭氏は「4倍であれば、それほど大きなダメージはない」と述べた。

しかし、金融庁の仮想通貨交換業等に関する研究会では、一部のメンバーから「2倍にするべき」との意見も出ている。

鬼頭氏は「2倍となると、商品としての魅力が失われることになるだろう。収益への影響も大きい」と語った。

 

仮想通貨の取り巻く環境が変化

鬼頭社長は、「仮想通貨を取り巻く環境は、(コインチェックやZaifでの)事件で大きく変わった」と指摘する。

以前は、仮想通貨ビジネスについて「将来的にグループの半分にまで成長するだろうとのイメージを持っていた」が、「若干トーンを落として、冷静に判断し、保守的に考えないといけない」と語る。

FXにおいてはレバレッジなどに規制が整備された後、ユーザーの安心感が生まれ、成長してきた実績があると指摘する。だが、仮想通貨は「FXに比べても様々なハードルがあり、慎重な姿勢を取りたい」としている。