ドイツ連邦財務省が、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)という構想は実行するにはリスクが大きすぎると考えている。コインテレグラフ・ドイツが5日に伝えた

 緑の党のゲルハルト・シック連邦議員の質問に答え、財務省が自身の立場を表明した。経済新聞のハンデルスブラットが4日に報じた

 ハンデルスブラットは、同省が「これまでのところ、ドイツとユーロ圏の幅広い利用者に向けたデジタル中央銀行通貨の発行に対する説得力ある理由はない」と述べたと伝えた。

 同省は、高速な銀行送金を含む、中央銀行発行デジタル通貨の潜在的な利点は他の方法でも実現可能だと主張し、CBDCには「いくつかの十分には解明されていないリスク」があると述べた。

 財務省は、中央銀行が自身の独立性を危険にさらすかもしれない仮想通貨をもし発行するならば、金融システムにおいてより強い立場を得ることにもなるだろうと述べた。ハンデルスブラットによると同省は、取引コストがより低いため、金融危機時のデジタル中央銀行通貨での破産はより速くより大規模に生じるかもしれないことも懸念しているという。同省職員はまた、デジタル通貨はマネーロンダリングやテロ資金供与への取り組みをさらに難しくするだろうとも主張した。

 世界的にみると、中央政府は国家発行デジタル通貨に対し様々な考えを表明している。イングランド銀行は5月に調査報告書の中で、CBDCの導入は民間貸付や経済全体への流動性供給に悪影響を及ぼさないと結論付けた。ノルウェーの中央銀行であるノルウェー銀行は同じく5月、ある研究で、現金を補足するものとしてのCBDCというアイデアを推奨しさえした。