ドイツの金融監督当局であるドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は、仮想通貨取引所バイナンスに対し、ジャオ・チャンポンCEO(通称CZ)と同社の組織構造に対する懸念を理由にライセンス申請の撤回を勧告したとの報道されている。

ウォールストリートジャーナルの7月28日の報道によれば、BaFinはジャオ氏が金融監督当局の規制ガイドラインに基づく「適性・適格」テストを合格していない可能性があるとバイナンスに伝えた。ライセンス申請に対する規制者のガイドラインでは、経営陣(この場合、CZを指す)は「必要な専門的資格を持ち、良好な評判を保ちつつ、その職務を遂行するために十分な時間を費やす」必要があるとされている。

またBaFinはバイナンスの企業構造が規制当局の監督を妨げているとも伝えたという。バイナンスは7月26日にドイツでの申請を撤回したと発表した。その決定は、同社が欧州連合(EU)の暗号資産市場(MiCA)規制に準拠するための努力に集中するためだと説明していた。

バイナンスの広報担当者は、ウォールストリートジャーナルの記事は不正確だとコインテレグラフに語った。同社は、CZに関する詳細については発表時点で具体的な反応を示していない。

米国では、バイナンスは証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)から証券法と取引ガイドラインをそれぞれ違反したとして法的措置を受けている。バイナンスの弁護士は7月27日の裁判所提出書類で、CFTCの訴訟の却下を求め、委員会がその権限を超えていると主張した。

発表時点で刑事告訴はなされていないが、一部報道によれば、米司法省はバイナンスがロシアへの経済制裁を巡って制裁違反があるとして調査を行っているとのことだ。バイナンスの最高戦略責任者であるパトリック・ヒルマン氏は7月6日、同社を離れると発表した。これは司法省の調査に対する対応と報じられている。

バイナンスは世界最大の仮想通貨取引所の1つだが、実際の本社は存在しないとされている。報道によれば、CZは2021年以降、ドバイに自宅を構えているとされているが、SECは6月にCEOに法的召喚状を発行するのに苦労したという

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン