ジェミナイ共同創設者のキャメロン・ウィンクルボス氏が、デジタル・カレンシー・グループ(DCG)およびその仮想通貨貸付会社ジェネシス・グローバル・キャピタル(GGC)との合併を検討していた。これが実現していれば、コインベースやFTXと競合する巨大企業が誕生する可能性があった。

このような話が浮上してきたのは、DCGのバリー・シルバートCEOが2022年10月のウィンクルボス氏との昼食会後に同僚へ送ったメールが公開されたためだ(2022年10月はジェネシスが倒産する3か月前のタイミングだ)。このメールは、ニューヨーク州司法長官が提起した訴訟を棄却するための3月6日の動議の一環として、DCGとシルバート氏を代理する弁護士によって共有された。

シルバート氏はジェネシスが破産状態であることを知っており、その事実を取引相手から隠すべきだと考えていたという申し立てに対して、このメールを使って反論した。弁護士側はシルバート氏の行動がその反対を示していると主張した。「ジェネシス/ジェミナイ/DCG間のより緊密なパートナーシップについて、彼は興味を持っている。会社の合併も含まれる可能性がある」とシルバート氏は書いている。

シルバート氏は、合併は「投資家にとって非常にエキサイティングだ」とし、10億ドルの資金調達が可能であれば、24か月以内に公開企業への上場が実現するかもしれないとした。「ジェミナイとジェネシスの組み合わせは巨大企業になるだろう」とウィンクルボス氏に提案し、「コインベースやFTXと競合し、ジェミナイを世界最大の仮想通貨カストディプロバイダーにすることができる」と付け加えた。

公開されたDCGのシルバートCEOのEメール  Source: DCG

当時、2社は18か月間にわたり、プラットフォーム間の貸付パートナーシップで密接に連携していた。しかし、GGCは、現在は倒産したスリー・アローズ・キャピタルへの過剰なエクスポージャーにより「数億ドルの損失」に直面していた。

シルバート氏はまた、GGCの財政問題についてウィンクルボス氏に正直に伝えたとし、「その部分は驚くほどよく受け止められ、リスクを軽減するために協力する必要があることを理解してくれた」と述べた。

シルバート氏は同僚に対して、ジェネシスはどんなことをしても「取り付け騒ぎ」を避けるべきだと強調し、そうでなければ、代わりの流動性を見つけることは「困難である、あるいは不可能になる」と書いた。「ジェネシスの倒産リスクがある場合、DCGで資金を調達することはできない。だから、悪いことが起こらないようにするためには、彼らのコートにボールがある」と語った。だが結局、合併は実現しなかった。

ジェミナイは2021年2月に「Earn」プログラムを開始し、顧客がGGCにコインを貸し付けることで利子を受け取る仕組みだった。しかし、メールから1か月後にGGCがFTXの衝撃的な破綻に起因する「前例のない市場の混乱」を理由に出金を停止し、この取り組みは継続不可能な状況となった。

その後、GGCは2023年1月に破産し、ジェミナイのEarnプログラムの顧客23万2000人に対して12億ドルの負債を負う状況となった。以来、ウィンクルボス氏はシルバート氏を数回にわたって訴えると言い、「詐欺行為」に従事していたと非難している。