サウジアラビアの首都リヤドで開催されていた20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が共同声明を採択して閉幕した。声明にはステーブルコインや金融活動作業部会(FATF)が主導する規制への支持が改めて表明された他、国際送金のロードマップを10月までに作成することが盛り込まれた。

また、新型コロナウィルスなどが世界的な広がりを持つリスクによる下方リスクは根強く、これらのリスクに対処するための行動をとるとの方針が盛り込まれた。

声明の中では「デジタル時代における規制・監督上の課題の枠組みを構築する取組を支持する」と表明。そのためにグーグルやフェイスブックを想定した「ビッグテック」企業の金融分野への進出を注視するとともに、アンチマネーロンダリング(AML)やテロ資金供与(CFT)への対策、通貨主権など、金融の技術革新によってもたらされるリスクにひき続き警戒を続けるという。

フェイスブックのリブラなどの「グローバル・ステーブルコイン」についてはリリース前に国際金融への影響を精査する必要性を改めて強調。金融安定理事会(FSB)が取り組む規制上の提言作成を支持するとし、仮想通貨や関連業社へFATF基準を実施することを促すという。

これまでにFSBはステーブルコインは仮想通貨よりも金融安定性に脅威と指摘しており、今回のG20前にもFSBのランダル・クォールズ議長はステーブルコインに対する規制整備について言及していた。

「FSBメンバーは、いわゆるステーブルコインを含むデジタル決済分野におけるイノベーションの速さを認識している。これらの新しい手段に対する必要な規制および監督上の対応を整備するペースを速めるつもりである」

クオールズ議長は「4月には規制問題に関する報告書のドラフトを発効し、協議のための対応を進める」と述べている。


国際送金の改善が必要

声明では、ステーブルコインについては引き続き警戒する一方で、「送金を含む、より安価で、迅速な資金移動を促進するよう、グローバルなクロスボーダー決済を改善する必要性を認識」と主張。

2020年10月までにグローバルなクロスボーダー決済を改善するためのロードマップを作成することを要請するとした。

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