8、9日に開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の主要論点の一つとして話し合われたデジタル課税で、BEPS(税源浸食と利益移転)包摂的枠組みで策定された2つの柱からなる作業計画を承認した。各国は2020年までに最終報告書による解決策の取り組みを強化し、特に最低税率を決定する方向性で一致した。

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2つの柱は「課税権の配分」と「BEPS問題(課税負担が軽い事業体の利得移転リスクへの対応)」。ユーザーが多くいる国に税収を多く配分する方向で検討を進める。

国を超えたデジタル課税をめぐってはグーグルやフェイスブックなどの巨大IT企業に対し「デジタル化が税負担の軽減につながっている」との認識から麻生太郎財務相も会議に先立って開催された8日のシンポジウムでも「デジタル化は一部の多国籍企業にとって税負担の軽減になっている」と指摘。課税対象と税収配分が問題になっていた。

フランスのルメール財務相は合意を受けて、記者団に対し「デジタル課税の前進は大きな改革だ」と強調した。特に最低税率を決定する方向性を歓迎した。最終合意についてはまだできていない点に懸念を示しながらも「コンセンサスが少しずつ形成されつつある」と今後の展開に期待を示した。

ただ、こうした最低税率を具体的に決定することは国政に介入することになり、合意を得ることは難しいことが予想される。ただ、これを決めない限り、二重非課税の問題は解決されないという点がある。

税率についてはフランスや英国が一方的な課税を決めているが、両国とも「国際的な税率の合意ができれば、現在の一方的な課税を取りやめる」ということも8日のシンポジウムで表明しており、2020年の最終合意に向けて、どう調整していくかが注目される。