仮想通貨取引所FTXが自社の保険基金の金額を偽装するために隠しコードを使用していたと、FTXの共同創設者ゲイリー・ワン氏が証言した。この保険基金は、大規模な清算イベントでのユーザーの損失を防ぐための資金プールとして設置されていた。
10月6日の新たな証言で、元FTXの最高技術責任者であるワン氏は、FTXが2021年に約1億ドルの保険基金を持っていると主張していたが、それは実際には捏造された数字であり、FTXのFTXトークン(FTT)も一切含まれていなかったと述べた(当時は525万FTTが基金にあると主張していた)。
公に示されていた数字は、FTXトークンの1日の取引量に7500に近い乱数を乗じて計算されたものだった。
「まず、保険基金にFTTは含まれていない。それは単なる数字だけだ。そして2つ目に、記載されていた数字はデータベースの内容と一致していない」とワン氏は証言した。
10月6日の裁判で提示された証拠品には、保険基金の数字を生成するために使用されたとされるコードが表示されている。
FTXの保険基金は、突然の市場の急変によるユーザーの損失を保護するために設計されたもので、その価値はウェブサイトやソーシャルメディアで頻繁に強調されていた。しかし、ワン氏の証言によれば、基金に含まれる額はこれらの損失をカバーするには不十分だった。例えば、2021年には、トレーダーがFTXの証拠金システムのバグを利用してモバイルコインで過大なポジションを取り、それがFTXに数億ドルの損失をもたらしたという。
ワン氏によれば、当時のCEOだったサム・バンクマン-フリード氏が保険基金がほぼ枯渇していることに気づいた際、姉妹会社であるアラメダリサーチに損失を「負担」させるようにワン氏は指示されたという。これは、アラメダの財務状況がFTXよりもプライベートであったため、損失を隠蔽するための試みだったとされる。
過去の証言では、バンクマン-フリード氏から指示を受けて、FTXのコードにマイナス残高機能を実装したもワン氏は語っている。これにより、アラメダリサーチはFTXでほぼ無制限の流動性を持って取引を行うことができた。
ワン氏は既に検察側の司法取引に応じて、詐欺罪などの自身の罪については有罪を認めている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン