中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元(e-CNY)による初の国際金取引が12月20日、行われた。

報道によると中国銀行の上海支店は、海外から受け取った1億人民元(約20億円)のe-CNY決済を上海金融取引所国際板を介して金地金に送金することに成功した。

中国銀行の広報担当者は、「この取引は、上海の自由貿易試験区促進戦略の深化を支援し、国際貿易センターの質とアップグレードを促進するために、金融面での強力な後押しとなる」と述べた。

中国銀行上海支店は、デジタル人民元のパイロットテストを主導する商業銀行の1つであり、最近ではCBDCを介して中国への鉄鉱石の輸入を促進した。また、フランスのBNPパリバなどの外国機関と提携して、デジタル人民元の開発に取り組んでいる。

中国の習近平国家主席は、2023年7月の上海協力機構サミットで行った演説の中で、CBDCの国際貿易における重要性を正式に称賛した。これ以降、さまざまな海外銀行が中国のCBDC試験に参加する一方で、シンガポールは中国の観光客が旅行中にデジタル人民元を島国内で使用できるようにすると発表した。また、12月1日には、中国がアラブ首長国連邦と4000万ドルのCBDC協力覚書に署名した。

12月19日には、公式のデジタル人民元アプリの最新版がリリースされた。このバージョンでは、ユーザーは電話番号を使用してデジタル人民元ウォレットを作成したり、電話を紛失した場合にウォレットを無効にしたり、パスワードと秘密鍵をリセットしたりできるようになった。また、ユーザーは個人の銀行口座やデビットカードをウォレットに紐付けて、ウォレット内でデジタル人民元を購入することもできる。