イスラエルのブロックチェーン系スタートアップ「クリア(Clear)」が、フィデリティ傘下のVCファンド「エイトローズベンチャーズ(Eight Roads Ventures)」が主導するシリーズAラウンドにおいて、1300万ドル(約14億3000万円)の資金調達を行った。クリアは、通信事業者など大企業間における大量かつクロスボーダー取引を要するシステム向けのブロックチェーン・ネットワークを開発しているという。テッククランチが2月6日に報じた

エイトローズベンチャーズは、フィデリティグループの投資部門に端を発するVCファンド。日本でも、エイトローズベンチャーズジャパンとして2012年から展開している。今回のシリーズAラウンドでは、スペインのテレフォニカ・イノベーション・ベンチャーズ、ドイツテレコムのテレコム・イノベーション・プール、香港の通信企業HKT、シンガポールのシングテル・イノフ8(Singtel Innov8)など通信事業者傘下のベンチャーファンドが参加したという。

クリアのウェブサイトによると、国際電話や通信事業者間のローミング契約、IoT(モノのインターネット)や5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを念頭に、通信事業者間のクロスボーダー取引に関するリアルタイム見積もり・請求・支払いほか、不正行為防止に利用できるスマートコントラクトの開発などをターゲットとしているそうだ。

クリア共同設立者のガル・ホッホバーグ(Gal Hochberg)氏は、ブロックチェーン技術におけるスマートコントラクトは、大量のクロスボーダー取引に対処できる強力なツールだと述べた。

「ビジネスパートナー間における(取引・サービス)状況について、信頼できる情報を提供できる。(中略)商用情報や提供サービスに関する問題があればリアルタイムに発見でき、(クリアの)プラットフォーム内で解決可能だ」

またブロックチェーン技術を基盤とすることで、すべての企業間取引を監査可能になる上、暗号化による保護、さらにすべての関係企業に対してデータの一貫性と同期を提供するという。

ホッホバーグ氏は、同社内部テストに基づき「数億件の請求イベント」を処理できると主張している。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版