マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)は木曜日、仮想通貨及び暗号資産のサービスプロバイダー(VASP)に関するガイドラインの改訂版を公開すると発表した。取引、ウォレット・プロバイダー、カストディ・プラットフォーム、その他を含む包括的な改訂となる。

これに先立ち、パブリックコンサルテーションを募るために主要な利害関係者向けに改訂文書が公開された。

VASPに関するガイドラインの改訂は、3日間にわたって開催されたFATFの総会で議題に上がり、3月第1週目に発行されることが決まった。

FATFは、マネーロンダリングやテロリストの資金供与対策関連政策に焦点を置く政府間機関だ。

新たなガイドラインは、トラベルルールに関するコンプライアンスをVASPへ適用した19年6月版からの改訂となる。FATFのトラベルルールは、すべてのVASPへ対し、そのプラットフォーム上で行われる取引に関して送信者と受信者両方の取引データを共有することを義務付けている。

その12カ月後の20年6月に公開された評価書で、FATFは仮想通貨のトラベルルール適用にある程度の進歩が見られたと評価した。その前の20年3月に公開された報告書では、米国を拠点としたVASPのほとんどがルールに従っていることが示された

また、FATFトラベルルールの実施ではアジアの国々が世界をリードしているとされ、シンガポールおよび韓国での取引が最も高いレベルのコンプライアンスを示している

今年改訂されるガイドラインには、ステーブルコインやピア・ツー・ピア取引も含まれている。

FATFの声明によると、パブリックコンサルテーションで寄せられたフィードバックを基に最終的なガイドラインが作成され、21年6月には承認される見通しだという。

FATFは、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策として、仮想通貨とVASPにはリスクベースの監視が必要であるとの立場を貫くが、一方で、違法な仮想通貨取引が引き続き減少傾向にあることは特筆すべきだろう。

ブロックチェーンインテリジェンス会社のチェイナリシスが20年に発表した仮想通貨犯罪レポートによると、犯罪に関係していた取引は、同年の仮想通貨アクティビティ全体のうちわずか0.34%だった。