匿名仮想通貨ビームやグリンに採用されたミンブルウィンブルを解説

本稿は、仮想通貨・ブロックチェーンデータ提供を手がけるコインゲッコー(CoinGecko)の四半期レポートの一部を編集・再構成したものです。

ビットコインを始めとする仮想通貨ではコインのプライバシー(匿名性)を高めることは「お金としての価値」に直結する問題だ。もし自分が持っているコインが悪用されたら、その信用性は低下する。プライバシーは新たにコインを発行する場合にはもっとも重要視される。

今年1月に新たに誕生したプライバシーコインであるグリン(Grin)とビーム(Beam)では新たに「MimbleWimble(ミンブルウィンブル)」のプロトコルを採用した。匿名性を持ったコインとしてはこれまでに複数開発されているが、新しいコインが採用したミンブルウィンブルにはどのような特徴があるのかを簡単に解説する。

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プライバシーとスケーラビリティの両立

ミンブルウィンブルは「プライバシーとスケーラビリティの実現を目指す」プロトコルだ。アドレスウォレットがないため、送金情報がノードに送られない。

そのため、利用者は匿名性を獲得できる。ブロックに記録される情報量が少ないため、取引スピードを速くすることができる。このようにスケーラビリティと匿名性の両方を兼ね備えていることが特徴だ。

一方で、匿名性をもつプライバシーコインとしてはモネロ(Monero)やジーキャッシュ(Zcash)などすでに複数のコインがあるが、これらは情報量が多くなるに連れてスケーラビリティの問題を抱えている。

モネロとジーキャッシュは独自のスケーラビリティ・ソリューションを実装しており、今後の改善が期待されている。

ミンブルウィンブルが実現する高いプライバシー

ミンブルウィンブルはいくつかの暗号技術を組み合わせることで、デフォルトで高いプライバシーを実現している。これらはコインジョイン(coinjoin)、カットスルー、コンフィデンシャルトランザクションといった技術で説明できる。

まず、Coinjoinとコンフィデンシャルトランザクションは情報の秘匿性に関連した技術だ。Coinjoinはトランザクションのインプットとアウトプットを合体させることで第三者から誰が何を送ったかをわかりにくくするもの。コンフィデンシャルトランザクションは送金したコインの量を秘匿する技術だ。

次にスケーラビリティを解決するのがカットスルー。通常、ビットコインでの送金のトランザクションでは複数のインプットとアウトプットが生成される。ミンブルウィンブルではそれらのインプットとアウトプットを一つに集約することで、小さなブロックチェーンサイズとスケーラビリティを改善できる。この技術をカットスルーと呼ぶ。

この三つの技術でプライバシープロトコルが形成されている。

「プライバシーとスケーラビリティの両立」という観点から、優れているように見えるミンブルウィンブルだが、すでに実績をもつコインと比較するとまだ、一長一短と言える。

ミンブルウィンブルは追加レイヤーが必要なく、スケーラビリティが高いといった特徴があるが、仮想通貨データ提供を手がけるコインゲッコーによると、プライバシー機能についてはモネロなど実績があるコインに比べて実証されていない点が課題だという。

ミンブルウィンブルについても注目が集まるが、まだまだ発展途上のプロトコルであり、他の匿名性コインと合わせて動向を注視していく必要があるだろう。

参照 コインゲッコー
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編集 コインテレグラフ日本版