欧州議会の経済金融委員会は14日、EU内でプルーフ・オブ・ワーク(PoW)コンセンサスアルゴリズムを採用した仮想通貨が禁止される可能性があった「仮想通貨市場Markets in Crypto Assets:MiCA)草案」に反対票を投じた。MiCA法案を巡っては、同法案の強硬な規制シナリオを警告していた仮想通貨業界にとって、大きな救済となる。
MiCA法案は、126の条文と、EUおよび加盟国の機関によるその詳細な実施計画からなる規制枠組み。2020年に欧州委員会がデジタル金融戦略の一環として導入した。すべての主要仮想通貨とステーブルコイン、マイニングと取引プラットフォームの運用、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、セキュリティトークン、ノンファンジブルトークン(NFT)、分散型金融(DeFi)など、幅広いテーマをカバーしている。
14日の議会で最も注目されたのは、採決にかけられた2つの草案の間に大きな違いがあったことだ。そのうちのひとつは、PoWを採用する仮想通貨の運用を違法とする可能性のある文言を含んでいた。問題なのは、仮想通貨提供者に環境維持基準の遵守に関する詳細な計画の提出を求めるという点だ。
ビットコイン(BTC)や他のいくつかの分散型システムの場合、既存の運営者や個人または集団の意思決定者が存在しないため、原則的にそうした詳細を提供することができなかった。
そのため、PoW規制の草案は、そうした規制の行き詰まりを取り除くために、PoWを採用する仮想通貨を禁止するという文言は消去されていた。欧州議会経済金融委員会のステファン・ベルガー委員が先に断言したように、この問題文言は最終草案には出てこないはずだった。
最終的に、MiCaの強硬版は議会に登場したものの、欧州議会議員の大多数からは支持されなかった。仮想通貨会社アンストッパブル・ファイナンスの戦略責任者であるパトリック・ハンセン氏が報告したように、ECON委員会の32人のメンバーは制限的なバージョンに反対し、24人だけが賛成票を投じた。
PoW規制を含まないMiCAの修正草案は、今後EU機関を通過していくが、PoWマイニングの直接的または間接的な禁止は含まれていない。その代わり、EUの最高執行機関である欧州委員会に対し、2025年1月1日までに「あらゆる仮想通貨マイニング活動をEU持続可能金融分類に含めることを視野に入れた」立法案を提示するよう指示している。
ただ仮想通貨マイニングは、2025年1月より前に「持続不可能な」活動として分類され、ヨーロッパの企業や政府の支援や投資の対象から締め出される可能性もある。しかし、これはまだ全面的な禁止には程遠く、その決定はヨーロッパにおける仮想通貨の環境を劇的に変化させる可能性がある。