イーサリアムのネイティブトークンで仮想通貨として第三番目に大きい時価総額を有するイーサ(ETH)が4日、1000ドルをつけ再び高値更新した。イーサリアム上での取引量が堅調に伸びていることや、リップルに移っていた資金が戻ってきたこと、またイーサリアムを基盤とした分散型アプリの普及に対する期待感等が材料になっているようだ。

処理する取引件数はビットコインを上回る

 現在イーサリアムが処理する取引は毎日140万件近くになっており、ビットコインを含むすべてのブロックチェーンで行われる取引量より多い。ちなみにビットコインが毎日処理する取引量は42万件だ。

 ライトコイン創始者でコインベース元幹部のチャーリー・リー氏は、仮想通貨を評価する際には取引量とユーザー数に着目することを促しているが、イーサリアムはその点堅調に推移しているようだ。

スケーラビリティ問題解決への期待

 また、イーサリアムの取引処理能力を大幅に伸ばすとされる「シャーディング」と呼ばれる技術の進展への期待も高まっている。1月2日にはイーサリアム共同創始者であるヴィタリック・ブテリン氏はイーサリアムの公式ブログの中で、このシャーディング等のブロックチェーン拡張技術を開発するチームに対して5万~100万ドルを付与する補助金プログラムを発表している。

 ブテリン氏が推進する「シャーディング」は、ブロックサイズの引き上げやブロックチェーンの外に決済レイヤーをつくるこれまでのやり方とは異なり、非中央集権的性質を保ちながらブロックチェーンにおけるノードへの負担を減らし取引処理能力を増大させる仕組みだ。これが実現すればイーサリアムを飛躍的に成長させる見通しがたつ。

リップルからの資金回帰?

 また、イーサリアムの時価総額を超えて第二位の仮想通貨となっているリップルが調整に入ったため、資金がイーサリアムに流れてきたとする見方もある。

ETH

イーサ強気派の声

 もともとイーサリアムは既存のIT業界関係者や投資家からも評価が高いプロジェクトだ。

 元ゴールドマンサックスのパートナーで7兆円ファンドでの運用経験もある米投資家マイク・ノボグラッツ氏も、昨年11月イーサリアムが500ドルで取引されていた時に18年にはその三倍になるとしていた

分散型アプリの台頭

 これまで何度かコインテレグラフでもお伝えしてきたように、イーサリアムを基盤とした分散型アプリを作動させるブラウザが普及しはじめたことも強気材料になっている。特にクリプトキティーズ(仮想子猫)のような分散型アプリが話題になったことで、一気に次世代アプリの在り方に注目が集まっている。これについては既報「分散型アプリdApp向けブラウザがイーサリアムの普及を促進」を参照されたい。