イーサリアム(ETH)のコア開発者たちが、新たなプルーフ・オブ・ワーク(PoW)アルゴリズムを導入することで暫定的に合意した。このアルゴリズムは、ネットワーク上で(ASICベースとは対照的に)GPUベースのマイニング効率を向上させる。4日の会合でアルゴリズムの開発について議論がなされた。

会合の中で開発者のハドソン・ジェムソン氏は、「ProgPoW」導入への「反対の声はほとんど」聞かれなかったと述べた。ProgPoWはこれまで、「Gangnam」テストネットで実行されるクライアント実装を通じて試行されている。テストネットとは基本的にプライマリネットワークのシミュレーション版であり、開発者は実行のための「ガス」(計算料金)を支払うことなくアップグレードを試したり、スマートコントラクトを実行できる。

ASICとは、特定用途向け集積回路(ASIC)チップを使用したマイニングハードウェアのことを指し、特定のハッシングアルゴリズムに基づいて仮想通貨を効率的にマイニングできるように調整されている。一方、グラフィック処理装置(GPU)を使用した構成は特殊化の度合いが低く、したがってこれまで、ASICが展開されたネットワークと比較して報酬面で苦労している

ProgPoWチームに属する2人の開発者が、アルゴリズムの仕様に関する最近の進展について要約している。それによれば、ASICマイナーにとって「少々難易度が上がった」だけでなく、ハッシュレートの安定化にもつながっているという。

セキュリティ主任のマーティン・ホルスト・スウェンデ氏は、ProgPoWはGPUベースの構成で使用できる特定のアクセラレーターとASICの双方にとって耐性が上がっており、ProgPoWへの切り替えは「私たちのネットワークにおいてASICのレベルを少なくとも1年、もしかするとさらに延期させる」という見解を示した。

また、イーサリアムの現行のPoWアルゴリズムである「Ethash(イーサハッシュ)」には「欠陥があり、それが現在標的となっている」といい、「できるだけ早く切り替え、プルーフオブステークに移行する時間を確保したい」とも述べた

既報の通りハイブリッド型のPoS-PoW Casper(キャスパー)プロトコルを経て進化した後、イーサリアムは最終的にPoS(Casper v2)へ移行すると想定されている。シャーディングとともに、PoSは、PoWに伴う過剰なエネルギー消費の抑制や「マイニングハードウェアへの平等なアクセスやマイニングプールの集権化」といった問題の軽減、それにオンチェーンスケーリングソリューションの提供を目標とする。

4日の開発者会合は、イーサリアムにとって5回目となるシステム全体のアップグレード、つまり「コンスタンティノープル」と名付けられたハードフォークの実行予定の直前に開かれた。

開発者たちは、その後に予定されているハードフォーク「イスタンブール」(単独ながらシステム全体のアップグレード)の実施前にProgPoWを導入する方向へ傾いていたが、ProgPoWの正確な時期については18日の次回の開発者会合でさらに議論される