イーサリアムのレイヤー2(セカンドレイヤー)ソリューションは、ネットワークのスケーリングに焦点を当ててきた。しかし、イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏は「カスタマイズド・ファンクショナリティ(カスタマイズされた機能)」を提供するという「レイヤー3」構想を明らかにした。

ブテリン氏は17日の投稿で、レイヤー3が将来的にどのような用途に使われるのか、3つの「ビジョン」を提示し、自身の考えを述べた。

ブロックチェーン上のサード・レイヤーは、主にゼロ知識(zk)ロールアップ技術によってスケーリングを強化するために使用されてきたセカンドレイヤーとは異なる機能を提供する場合にのみ意味をなすという。

「同じスケーリングスキームを重ねることで構成される3層のスケーリングアーキテクチャは、一般的にうまく機能しない。ロールアップの上にロールアップを重ね、2層のロールアップが同じ技術を使用するような場合は全く意味がないだろう」

しかし、「2層目と3層目が異なる目的を持っている3層アーキテクチャは、うまくいくことがある」とブテリン氏はいう。

サードレイヤーのユースケースの1つは、ブテリン氏が「カスタマイズド・ファンクショナリティ」と表現するもので、zk証明を利用してプライバシーを保護したトランザクションをセカンドレイヤーに提供する、プライバシーベースのアプリケーションを指す。

また、イーサリアム仮装マシン(EVM)を使って計算を行うことを望まない特殊なアプリケーションのための「カスタマイズド・スケーリング」というユースケースも考えられるという。

ブテリン氏は、レイヤー3はzk対策技術であるValidiumsを通じて「弱く信頼された」スケーリングに利用できるとも述べている。「validium proverを実行し、定期的にハッシュをチェーンにコミットする集中型サーバー」を使用することで、「エンタープライズブロックチェーン」アプリケーションに有益になる可能性があると述べている。

しかし、イーサリアム上でカスタマイズされたアプリケーションを構築する場合、レイヤー3構造が現在のレイヤー2モデルよりも効率的になるかはまだ不明であると付け加えた。

Layer-2 Vs Layer-3 Network Architecture. Source: StarkWare.

「2層モデルよりも3層モデルの方が優れているという論拠として考えられるのは、3層モデルでは、サブエコシステム全体を1つのロールアップ内に存在させることができ、そのエコシステム内のクロスドメイン操作が、高価なレイヤー1を経由する必要なく、非常に安価に実現できることだ」とブテリン氏は述べた。

しかし、同じチェーンにコミットしている2つのレイヤー2間でクロスチェーン取引が簡単かつ安価に実行できるため、レイヤー3を構築しても必ずしもネットワークの効率は向上しないかもしれないと示唆した。