イーサリアム(ETH)は、マクロ経済的な懸念や米国のイーサリアム上場投資信託(ETF)からの継続的な売り圧力によって投資家心理が冷え込む中、約3カ月にわたる下落トレンドからの反転に苦しんでいる。

TradingViewのデータによると、イーサリアム(ETH)は2024年12月16日に4,100ドルを超えてピークを付けた後、下落トレンドに入り、これまでに53%以上下落している。

ビットフィネックスのアナリストによれば、この下落トレンドは、米国の輸入関税をめぐる世界的な不透明感による貿易戦争懸念や、イーサリアム・ネットワーク上での開発者活動の低下によって引き起こされているという。

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ETH/USD, 1-day chart, downtrend. Source: Cointelegraph/ TradingView 

アナリストはコインテレグラフに対し、「高額な運営コストにより新たなプロジェクトや開発者がETHに移行しにくくなっていることが、ETHの低迷の主な理由と考えられる。私たちは、ETHにとって1,800ドルが重要な水準になると見ている」と述べた。

また、「ただし、今回の売りはETHに限らず、関税の影響を懸念する動きがリスク資産全般に広がり、市場全体が調整局面にある」とも付け加えた。

一方で、暗号資産投資家の間では、これまでの4年周期のパターンから外れる形で早期にベアマーケット(弱気相場)入りする可能性への警戒も高まっている。

ブロックチェーン分析会社ナンセンの主席リサーチアナリストであるオレリー・バーテレ氏は、仮想通貨と世界の金融市場が「マクロ調整」の局面に入っており、その中でもビットコイン(BTC)は7万ドルまで下落するリスクがあると指摘した。

ETF流出がイーサ価格に影響

イーサリアムの課題に加え、ETFからの継続的な資金流出がETH価格の回復を妨げていると、デジタル資産投資プラットフォームNexoの編集者であるステラ・ズラタレバ氏は述べた。

「先週のETHの20%下落により、2022年からの強気相場を支えてきた重要な2,200ドルのトレンドラインを割り込んだ。ビットコインと同様に、この冴えない値動きの背景にはETFの影響がある」

Sosovalueのデータによると、米国のスポット型イーサリアムETFは4週連続で資金流出超過となり、先週だけで約1億1,900万ドル相当の累計流出が確認されている。

Total spot Ether ETF net inflow. Source: Sosovalue

一方で、一部の機関投資家は2025年のイーサリアム価格に対して強気な見方を維持している。ヴァンエックは、ETHのサイクルトップ(最高値)を6,000ドル、ビットコイン(BTC)の価格を18万ドルと予測している。