イーサリアム(ETH)は8月に史上最高値の4950ドルへと急騰した。背景には市場全体の上昇ムードと現物イーサリアム上場投資信託(ETF)への資金流入があったほか、取引所やETH供給での変化もあった。
クリプトクオントのデータによると、8月にバイナンスのETH準備金は急増した。取引所での準備金の増加は通常、利益確定によるコインの流通拡大を示唆する。また流動供給も増加しており、一部のETH保有者が市場に戻ってきていることがうかがえる。
一方で、ETH供給の大半は依然として非流動的であり、ステーキングや長期保有でロックされている。この構造的な供給不足が大きな強気シナリオを支えている。分析では次のように指摘されている。
「9月の最も可能性の高いシナリオは、4300ドルから5000ドルのレンジでの横ばいからやや強気の動きだ。4800ドルのレジスタンスを突破し、それを維持できれば、5200ドルから5500ドルに到達する可能性がある」
グラスノードのデータでは、1万ETH以上を保有する巨大クジラ(大口保有者)が8月の上昇を主導し、30日間で純流入が220万ETHを超えた。しかし、この積み上げは現在一服している。
一方で1000~1万ETHを持つクジラは買い戻しを再開し、同期間に41万ETH以上を積み増している。このローテーションは、巨大クジラが一時的に動きを止めても需要自体は消えていないことを示している。
先物市場は価格下落でも強気を維持
ETH先物のデータも強気の見方を補強している。
アナリストのアムル・タハ氏は、今週ETHが4300ドルを下回ったにもかかわらず、バイナンスの未決済建玉は840億ドル以上を維持していると指摘した。これは8月30日に見られた水準と同じである。
通常であれば急落局面では清算に伴う建玉の急減が起こるが、今回の粘り強さはトレーダーが反発を見込んでいるか、下落を気にしていないことを示している。未決済建玉の縮小ペースも鈍化しており、週初に6.25%減だったが現在は3.4%に落ち着いている。バイナンスのネットテイカーボリュームは依然マイナスで売り圧力が優勢だが、未決済建玉が安定していることは買い手がその多くを吸収していることを意味する。
一方、スポット市場の動きも供給不足を強めている。バイナンスやクラーケンからの引き出しは日常的に12万ETHを超えており、非流動供給の物語を補強するとともに、将来的な売り圧力の大きさを抑えている。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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