イーサリアム(ETH)は、週明けに繰り返し発生する「月曜の罠」──週末の楽観ムードで積み上がったレバレッジロングが週初に大量清算されるパターン──を振り払い、ビットコイン(BTC)に対して強さを見せている。火曜日にはETHが最大5%上昇した一方、BTCの戻りは1%にとどまった。
データによれば、4月や6月の急落時には1日で30万ETH超のロング清算が発生するなど、月曜日が最も清算の規模が大きい傾向が繰り返し起こっている。週末の強気姿勢が、週明けの流動性復帰によって損失へと転じやすいことを浮き彫りにしている。
回復が見られる一方、ETHのデリバティブ市場は過熱の兆候を示している。バイナンスの推定レバレッジ比率(ELR)は0.53と過去最高を記録し、2020年半ばの0.09から大きく跳ね上がっている。
ELRは未決済建玉と取引所準備金の比率を示し、トレーダーのレバレッジ利用度を測る指標だ。数値の上昇は過度の楽観を意味し、強制清算リスクの増大を示唆する。
建玉残高も8月22日に700億ドルと過去最高を更新。過度なポジションは短期的に急なポジション解消を招きやすく、次の上昇に備える前にトレーダーを一掃する動きにつながる可能性がある。
スポット市場は強気のシグナル
しかし、スポット市場の動向は対照的に強さを示している。アナリストのアムル・タハ氏は、バイナンスに16億5000万ドル超のステーブルコイン入金があり、8月に入って2度目の15億ドル超の流入が観測されたと指摘した。
さらに、8月24日から25日にかけて20万8000ETH(約10億ドル)がバイナンスから引き出され、コールドウォレットへの移動が確認された。これは売り圧力の低下と長期的な強気ポジションの強化を意味する。
レバレッジの上昇と機関投資家による積極的な買いが交錯し、ETHは岐路に立たされている。ステーブルコイン流入と取引所からの引き出しは強気要因だが、過度なレバレッジは短期的な変動リスクを高めている。
鍵は4700ドル突破
火曜日のETHは4350ドルの長期サポートを再テストしつつ日次オーダーブロックの流動性を吸収して4579ドルまで上昇した。短期的には建設的な動きを見せているが、持続性が鍵となる。
中期的には価格が4450〜4600ドルのフェアバリューギャップを埋めている状況で、売り圧力が続けば4000ドルまでの下落リスクも残る。これを無効化するには、まず4662ドル付近まで回復し、4700ドルを明確に上抜けて日足をクローズする必要がある。
この水準を取り戻せば、複数の時間軸で強気の構造が整い、5000ドルへの道が開かれる。
逆に4700ドルを下回ったままの保ち合いが続くなら、ショートカバー主導の一時的上昇に過ぎず、売り手が高値で再参入して下押しする展開となる可能性がある。
4700ドルを突破できなければ、ETHは4350〜4700ドルのレンジに閉じ込められ、4350ドルを割り込めば、より深い調整が進む恐れがある。当面は4700ドルが、調整と強気再開を分ける重要な分岐点となっている。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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